【書評】『「複業」で成功する(元榮太一郎)』感想。パラレルキャリアを歩むビジネスマン必読の一冊

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「複業」で成功するためには?

「複業」こそ新しい働き方だ。働き方改革により日本は原則「副業解禁」となったが、本業の片手間の「副業」で満足していては未来は拓けない。「本業を複数持つ」すなわち「複業」の意識が個人、企業を成功に導くのだ。成功と失敗の分かれ目は? 法律をどう味方につける? 就業規則はどうすべき? 上場企業に成長した弁護士ドットコムの創業者にして弁護士、国会議員としても活動中の著者が示す成功への工程表。

令和時代の日本においては、副業解禁となり、多くのビジネスマンがサラリーマンをしながら別のキャリアを並行して歩むことも珍しくなくなってきました。インターネット上でも、ホリエモンをはじめとし、多くの著名人も、複数の肩書きを持ってキャリアを進めることを推奨する風潮が見られます。

本著では、「副業」という考え方を、「複業」まさしく、複数の業を行うこととして捉え、令和時代の副業社会でいかに成功していくか、そのノウハウを惜しげも無く披露した一冊となっています。

「複業」で成功する 著者:元榮太一郎

元榮太一郎(もとえたいちろう)

1975(昭和50)年米国イリノイ州生まれ。慶應義塾大学法学部卒。旧司法試験合格後、アンダーソン・毛利法律事務所に勤務するが三年で独立、弁護士ドットコムを創業。2019年11現在、同社の代表取締役会長、弁護士、参議院議員の"三足のわらじ"を履いて活躍中。

著者である元榮太一郎氏は、弁護士であり、上場企業の代表取締役会長であり、参議院議員であるという、マルチなキャリア展開をされている方です。一般に我々がイメージしている複業というキャリアとは次元が違いすぎる感は否めませんが、副業=サブとしての業務として捉えているのではなく、まさしく、「複数の業務」を行なっている事業家であるといえます。

「複業」で成功するをオススメする読者

  • 副業に関心があるビジネスマン
  • どんな副業なら法律として問題がないのか知りたい人
  • 個人ポートフォリオに関心の高い人
  • 将来の道筋が描けていなくて不安な人

本著を手に取る人は、少なからず副業に関心の高い人であると思います。現在の本業のスキルを活かしながら、どう行った副業であれば自らのキャリアをより成功させることができるのかを常に考えている成長意欲の高い方々であるはずです。こうした方々に共通なこととしては、他者の成功事例に対して関心が高いこと。まさしくそんな人にとって最適な一冊であることは自信を持ってお伝えできます。

令和時代のビジネスキャリアは、一つのキャリアを死ぬまで全うする、という人がこれまで以上に減少してくると考えられます。だからこそここまで副業が声高に叫ばれていますし、国の方針としてもそれを推奨する時代になっています。ということは、現代日本で働く方全てにとって副業は全く無関心の事象ではないと考えられます。今後副業をするしないに関わらず、こうしたビジネスキャリアがあるのだ、という知識として習得する意味合いにおいても、多くのサラリーマンに手に取っていただきたい1冊となっています。

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「パラレルキャリア」を考えるべき世代

パラレルキャリアとは、かの有名な経営学者ピーター・ドラッカーが提唱した理論。

ひとつではなく複数の活動を行うこと、並列したキャリアを築いていくことにより、自分の価値を高めていくという生き方の提案です。

重ね重ねとなりますが、令和時代のビジネスマンにおいて、一つのキャリアで人生を終えるという人は、これまで以上に減少していくことが考えられます。少子化が進行することで、働き手が少なくなるということは、国民一人当たりに期待される労働生産性は上昇していくため、当然ながら一人で複数のキャリア・生産を行うことが求められてくることが想像できます。

そんな中、「複業」で得ることができる、様々な知見・ノウハウや人脈といったものは、個人のスキルアップに大きな役割を担います。本業では巡り会うことのできない人との出会いや、業務の中で得られる新たな視点が、本業に対しても好影響を及ぼすことは言うまでもないでしょう。今の本業が楽しい・やりがいがある、という方にとっても、「複業」を行うことで本業の成功確率をさらに高めることにもつながると考えられます。複業のメリットについてもここで強く描かれており、「2つの顔」がもたらす「掛け算」の相乗効果として紹介されています。

 

 たとえば弁護士ドットコムで営業を担当している社員が、立ち上がったばかりの異業種の会社で営業のコンサルタントをしてほしいという依頼を受けたとします。その場合、弁護士ドットコムで得られた知見を相手先の会社で生かすことができるだけでなく、違う業界の営業を間近で見ることで必ず新たな気づきが得られます。

これは昨今話題になる多くの本でも取り上げられている内容と一致しています。実際に複業をしている人や、転職によって複数のキャリアを歩んでいる人に共通している視点の一つだと言えるでしょう。

副業の定義とは?

著者である元榮太一郎氏は弁護士であることからも、本著の中では、法律的な会社における副業についても言及されています。多くの方が最も関心が高いことは「副業の定義とは何か」と行ったことではないでしょうか。本著ではそこに対しても言及されています。

弁護士ドットコムの「みんなの法律相談」というコーナーでは、一般市民から得られた相談に対して、弁護士が回答をつけてくれるサービスを行っています。そこであったいくつかの回答を抜粋し、副業の定義などの疑問に対して回答しています。

あくまでも回答した弁護士の観点からみる回答のため、絶対正解というものがあるわけではないという前提ではありますが、副業の定義についてはおよそ以下の通り取りまとめられています。

 

副業の定義について
  • 副業に法律上の定義はない
  • 営利目的で反復継続する意思を持った事業を展開する場合や、他の使用者とのあいだに労働契約を締結する場合(契約を締結していなくても報酬を受け取る場合)が副業だとみなされる

※絶対正解如何ではなくおよそ一般的な見解として

会社の使用者側からの相談も数多く投稿されているようで、我々個人のビジネスマンが読んでも、副業にまつわる取り決めとしては、非常に参考になる回答が数多く綴られており、知識として持っておいて損はない内容となっています。

「複業」で成功する:まとめ

高度経済成長期から続く、昔からの働き方に対して、大きな変換器を迎えている現代社会において、「複業」という考え方は、多くのビジネスマンが知識としてもしっかりと身につけていく必要のある領域です。本著では、実際に弁護士、上場企業の代表取締役会長、参議院議員と三足のわらじを履いて活躍されている、元榮太一郎氏の実体験を交えかかれたノンフィクションが描かれています。程度の差はあれど、起業に対しても多くのエッセンスを学ぶことができるはずです。実際に起業や複業をするしないにかかわらず、令和時代に生きるサラリーマンが学ぶべき視点が数多く登場します。成長意欲が高いビジネスマンであれば必読の一冊、お手に取っていただくことをオススメします。

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