【書評】『労働2.0 やりたいことして、食べていく(中田敦彦)』令和時代の働き方をまとめた一冊!
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労働2.0 やりたいことして、食べていく

今、「働き方」は大きく変わりつつあります。

終身雇用システムに守られ、一つの仕事を続ける時代はもう去りました。

今や大企業も倒産するし、AI(人工知能)やテクノロジーの発達によって職業自体がなくなることも今後増えるでしょう。

そんな中で、働く人々は、ただ「いい会社に雇われる」ことだけを考えるのではなく、もっと広く視野を取り、自分だけの新しい働き方を創出していくべきです。

『労働2.0』とタイトルにあるように、労働者である我々サラリーマンの働き方をバージョンアップする、という内容が様々な視点から描かれています。

「労働2.0」著者:中田敦彦

中田 敦彦(なかた あつひこ、1982年9月27日 - )は、日本のお笑いタレント、実業家。お笑いコンビ・オリエンタルラジオのボケ、ネタ作り担当。相方は藤森慎吾。ダンス&ボーカルグループ・RADIO FISHのメンバーとしても活動している。

出典:Wikipedia

武勇伝のネタで時の人となったオリエンタルラジオの中田敦彦さんが著者。お笑いタレントの枠を超え実業家として活躍している彼の、仕事に対しての価値観を読み解くことができる一冊に仕上がっています。

「労働2.0」目次

  • はじめに―誰もがやりたいことで、食べていける
  • 第1章 やらされ仕事で、一生を終えるな!―脱・歯車の道
  • 第2章 「やりがい至上主義」「コンテンツ至上主義」にとらわれるな!―「働き方」にまつわる思い込み
  • 第3章 「やりたい人×できる人」が奇跡を起こす!―強みの見つけ方と活かし方
  • 第4章 プロ崇拝などナンセンスだ!―“Just Do It."のすすめ
  • 第5章 時代を読み、利益を生み出せ!―中田式・アイデア発想法
  • おわりに―戦士が勇者になる日
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最初は組織の「歯車」でいい

資本主義社会の日本においては、「資本家」と「労働者」には圧倒的な格差が存在します。資本家は、労働者の力を使って事業を展開していき、それにより対価を得る。その中で労働者は全員歯車にならざるを得ないのです。

「社会の歯車になりたくない」と声を上げる方も多くいると思いますが、そのために必要なことは、上司や会社の愚痴をこぼすことではなく「起業すること」にほかなりません。会社に勤務している以上、どんなに役職が上がろうが、歯車以外の何物でもないのです。

決して歯車がいい悪い、というわけではなく、まずは資本主義社会の中で我々がどんな立場にあるのかを正しく認識する必要があります。組織の歯車の中でも、「できること」を増やすことは可能です。当然、トップの意向に沿った内容である必要はありますが、その中でアイデアを練り実行していくという自由を勝ち取ることができます。歯車をいきなりやめることは難しいですが、少しずつ自分のやりたいことをやっていくことに取り組んでいくことをオススメしています。クビにならない範囲で、指示された以上の事を数多く取り組んでいくことで自らの成長にもつながっていくのです。

全員がオリンピック選手になれない

会社の中で歯車として働く事そのものを否定するものではありません。このままでは嫌だとモヤモヤしながら働く事はお勧めできませんが、全員が資本家であるべきとか、トップを目指せとか言うことは書かれていません。

スポーツの世界であれば、全員がオリンピック選手になって金メダルを目指す、ということではありません。コーチもいればスポーツ用品店のスタッフもいます。それぞれの仕事に存在意義があります。この、存在意義を感じながら、自分の居場所を創り出すということが重要です。その中でできることを増やしていくことで、歯車でありながら「やりたいことして、食べていく」ための道筋が開けてくるのです。

日本人は「経営者教育」が足りない

日本人の教育環境においては、「労働者」を数多く輩出するための教育がこれまでなされてきました。高度経済成長期の日本においては、労働者であることが安定的な収入を得ることができ、それにより社会も潤うという構図ができていたためです。

しかし、昨今の日本においては、働き改革を中心として、「労働とはなにか」ということを改めて全国民が考え直す機会がやってきています。AIの台頭や様々な機械化が台頭している中で、労働環境は大きく変化しています。単純に労働を続けていく事だけでは収入を増やすことも難しくなっているのです。

こうした中で、世の中の仕組みを理解し「経営」について学ぶ機会を得てこなかった日本人の多くが、社会の歯車として労働を続けているというのが今の日本の構図だと著者は言います。

こうした中でも経営者感覚を学んでいくために労働者である我々がまずできることとしては、副業を中心とした実際のビジネスを創り出す、といった経験が上げられます。被雇用者の立場であっても、他所に仕事を発注したりすることで、どのようにお金が巡っているのか、といった視点や、どのようにその収入を拡大させていけばよいかといった感覚を学んでいくことができます。

「人との違い」はすべて才能

全員が起業しろ、ということを進めているわけではないですが、全員が差異を持ち、その差異が強力な才能に変わることがあります。RADIO FISHという音楽グループを立ち上げた中田敦彦さんは、歌もダンスもプロフェッショナルではありませんでした。現在もその認識は強くそうですが、弟はダンスのプロであり、相方の藤森慎吾さんは歌が上手い。そんな中で中田敦彦さんは「人の才能を見つける才能」をもって、それぞれの才能を繋ぎ合わせることに成功しました。

このように、やりたいことのために不足している能力、というものは他の人から借りることで補完することができます。今の自分に足りないものが何か、を問い続けることで、別の視点が生まれてくる。まずは第一歩として、自分のやりたいことのために、必要な能力を見つけることが大切です。

お金をもらえたら、その時点で「プロ」

素人とプロの違いは何か。プロであると自認するかどうかはさておき、お金をもらうことができた時点でプロなのです。

Just Do It.

ナイキの広告で有名な、「とにかくやってみろ」という言葉。素人だからできない、やれないということはたくさんありますが、やってみなければ何も始まりません。Just Do It.の精神でとにかく続けていれば、自分自身でさえ想像しなかったような場所に行けるのです。まずチャレンジしていくことで、やりたいことして、食べていくための道が開けてきます。

「労働2.0」まとめ

「やりたいことして、食べていく」ためのアドバイスがいくつも書かれている本著。労働者である我々が、日々モヤモヤしている中でもやれることや考え方など数多くのアドバイスが描かれています。お笑い芸人から、音楽活動、オンラインサロンやアパレルブランドの立ち上げといった、マルチな活動をしている中田敦彦さんならではの仕事観を垣間見ることができ、まさしく「労働2.0」という形で、労働をアップデートするための考え方を学ぶことができます。

仕事の中で何か新しいことをしたい、日々の仕事に対して不満がある、といった方にとっては、明日を生きる活力になる一冊だと感じます。

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