『破天荒フェニックス』のOWNDAYS社長 田中修治氏2冊目の著書
『大きな嘘の木の下で ~僕がOWNDAYSを経営しながら考えていた10のウソ。〜』は、ドラマ化もされた実話ビジネス小説『破天荒フェニックス』の著者である、田中修治氏が世の中にまかり通る「ウソ」に切り込む内容のビジネス本。
「幸せ、お金、仕事、成功、人生、経営、男女、家族、政治、教育」の10のウソについて綴られています。
センセーショナルな見出しが掲げられている一冊であり、意識高い系ビジネスマンの読書法に対しても一つの意見を提示してくれているような内容。あらゆるビジネスマンにオススメです。
『大きな嘘の木の下で』をオススメする読者
- 今の仕事を楽しめていない人
- 新人・若手ビジネスマン
- 若手経営者・企業家
- 破天荒フェニックスの読者
- OWNDAYSのファン
現代社会の中で、ビジネスの最前線で闘う方であれば、誰しもが共感し学びを得られる一冊になっているので、あらゆる世代にオススメです。
お金の本質は「交換ツール」
お金は大切なものと言われますが、お金そのものに価値はありません。本著でも「お金はただの紙切れ」だと結論づけています。
お金を使って得られる何か、商品やサービスを得るためにお金は存在するものであり、あくまでそれらとの「交換ツール」でしかないのです。
お金を交換ツールとして理解した上で、どのように扱うべきか。お金を扱う際には、「高い・安い」ではなく、「その交換が自分にとって本当に価値があるか?」という目線で捉えることが重要です。
単純に10万円だから高い、ではなく、その10万円の交換が、自分にとって10万円以上の価値があるかどうかを吟味した上で支払い=交換をするということ。
お金持ちは、この交換の達人が多いそうです。単純に、10万円の交換で10万円の価値を受け取るのではなく、10万円の交換で20万円の価値を受け取り続けていくことで、自分の資産を増やすことができるのです。
単純な労働時間として対価を受け取る以上に、例えばスキルを習得したり、人脈を作ることができるなど、様々な付加価値を受け取る仕事ができれば、その交換はより良いものになることでしょう。
目先のお金に惑わされることなく、未来の大きなお金と交換できるかどうかを吟味した上で、目の前のお金の交換を行うことが重要なのです。
「ヒト消費」の時代に突入した現代
高度経済成長期の日本社会においては、「モノ消費」が主流でした。家や車を「所有する」ということに価値が置かれていた時代から、物を持たずに、体験やサービスを教授する「コト消費」に価値が置かれてきました。
そして、現代においてはさらに「ヒト消費」という時代がやってきています。
商品やサービスは同質化していきます。どんなに破壊的イノベーションが生まれたとしても、競合商品やサービスは絶えず生まれ、価格の低下が起こります。すると、商品やサービスがどこで購入したとしても同じようなものになってくるのです。
つまり、モノやコトでの差別化を図ることが難しい時代になっているということ。
ここに付加価値を設けるために必要な視点が「ヒト消費」です。
昨今では、著名人がオンラインサロンなどを展開しており盛り上がっています。キングコング西野亮廣やホリエモンといった著名人が発信する情報に対して、お金を払う人が数多くいます。これは、西野亮廣やホリエモンという「人」に対して価値を見出していることの現れでもあります。
「●●さんがやっているから買う」という価値は唯一無二のもので代替することができません。その価値を欲しがる人がいれば、価値は青天井で上がっていきます。
自身の仕事に対して以下に付加価値をつけて、「自分にしか出せない価値」を世の中に提供できるかどうか、という視点を持つことが重要な時代になっているのです。
「仕事」と「労働」の違い
- 仕事とは、誰かの願い(真のニーズ)を叶えるために、自分ができる限りの価値を提供すること
- 労働とは、体を使って働くこと、特に、収入を得る目的で、体や知能を使って働くこと
小売業においては、アマゾンや楽天といったスマホで完結するネット通販のような売り方と、名物おばちゃんがいる商店街の惣菜屋さんのような「●●さんから買う」といった売り方に今後二極化されていくことになります。その中間の「どこにでもあるものを、そこあらへんにいる人が適当に売る」という売り方は、淘汰されていくモノだと予測されています。
先述した、「ヒト消費」にも関わってくる内容ですが、売り手個人に価値がある商売は、付加価値や希少性が非常に高いため、今後も淘汰されることが少ない商売であると言えるでしょう。
成功はアート、失敗はサイエンス
本著ではこの主張がメインで話が展開されています。
多くのビジネス書では、どういう手法でビジネスを成功させてきたかという成功ストーリーが描かれていますが、それは、そもそもの前提条件が揃っていたケースが大半であり、再現性があるかどうかは別問題になります。
例えば、ソフトバンクの孫正義社長の成功パターンと、楽天の三木谷浩史社長の成功パターンを見比べても、全く対照的であることがわかります。そのため、成功体験の共有をしたところで、後進の育成に劇的な効果を見出すことは難しい。
それよりも、失敗パターンを学ぶ方が遥かに効率的であるといいます。
成功は様々な前提条件が重なり合ってできたアートの領域であるため、再現性が低い。一方で失敗に至るケースは多くが再現できるモノです。失敗するといわれている内容をそのまま取り組めば、多くのパターンでは失敗します。試合において、勝てるパターンよりも、負けるパターンを学び、その対策を講じる方が、負けない試合ができる、という理屈です。
勝つためには負け戦を研究しなければなりません。歴史上の偉人たちも、強い軍隊は負けた戦を研究し、そのパターンに陥らないための対策を講じます。成功するために、という思考ではなく、失敗しないために、という思考で仕事に取り組むことが重要なのです。
大きな嘘の木の下で:書評まとめ
大きな嘘の木の下で ~僕がOWNDAYSを経営しながら考えていた10のウソ。〜』は、働き方や生き方の真実を教えてくれる本です。ビジネスマンの多くは、ビジネスで成功したいと考えているはずです。成功したければ、幸せの本質を学ぶことが必要。
成功にまつわる本が巷にあふれる中で、なぜ成功する人が増えないのか
この本質的な問いにきちんと答えられるだけの、世の中の真実に触れられているかどうか。本著ではこの真実を学ぶことができ、明日への活力はもちろんのこと、仕事への取り組み方、生き方といった人生を見直すことができる一冊となっています。