【マネージャー必読】『福岡市を経営する』(高島宗一郎)秀逸なマネジメントの参考書【書評・レビュー】
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福岡市を経営するために必要なリーダシップ

福岡市長高島宗一郎さんによる著書、「福岡市を経営する」の書評・レビュー記事です。帯にある「落合陽一氏推薦」という帯につられて思わず手に取ってしまいましたが、期待以上の良著でした

福岡市が元気といわれて久しいですが、そんな福岡市がどういった経緯でここまでの成長を遂げてきたのか、その最前線にいる福岡市長が書いた本ということで、選挙の話に始まり、実際に取り組んできた様々な施策について言及されています。

福岡市を経営する中で、どういった視点を持ち意思決定をしてきたか、経営経験も、行政経験もない中でここまでの結果を残してきた市長の目には何が見えているのか。

この本を読んでわかることは、卓越したリーダーシップ論です。

  • 「挑戦」
  • 「逆襲」
  • 「決断
  • 「情報」
  • 「戦略」
  • 「覚悟」

それぞれに章立てされた文体の中に、我々のような民間企業で働くビジネスマンが現場で考えるべき重要な示唆も見え隠れします。

行政は生ぬるい世界だと思っている方々に対しても、これほどに福岡を本気で変えようとしている市長がいることを認識させることができ、ここから政治に対し興味を持ってくれる人もいることでしょう。

「福岡市を経営する」はマネジメント層の読者にオススメ

市長ということもあり、行政の長となる方からの視点で物事が書かれています。小さいながらも組織を持っている人からすれば、その規模には差があると思いますが、行政の現場においてもビジネスの現場においても、人の上に立つ人は、すべからくマネジメント能力が求められます。

そして、多くのマネジメントに携わるビジネスマンが、「人を動かすこと」に対して課題感を持っているのです。

そんな人たちに対して、高島さんはより大きな視点から様々なマネジメント能力を発揮しているシーンが多々あります。

この著書の中で学べる点は多く、マネジメント層に対しては非常にオススメな本に仕上がっています。

現職市長、高島宗一郎さんによる著書

高島宗一郎さんのプロフィール

大分県大分市生まれ。父は元大分放送アナウンサー(元社長室長)の高島晋一郎。母方の祖父は元豊後高田市長の倉田安雄。また親戚に元日本テレビアナウンサーの小林完吾がいる。

大分県立大分舞鶴高等学校、獨協大学法学部卒業。大学卒業後、福岡のKBC九州朝日放送に入社。同期には田崎日加理(退社)、宮本啓丞らがいる。

2010年9月2日、任期満了に伴う福岡市長選挙に出馬するため、九州朝日放送を退社。自由民主党福岡市議団が高島の擁立に動いたため、選挙戦では自民党、また公明党からも事実上の支援を受ける。 同年11月14日に執行された市長選挙で、現職の吉田宏市長(民主党・国民新党推薦、社民党支持)、元佐賀市長の木下敏之、植木とみ子ら7人の候補者を斥け初当選を果たした。次点の吉田と約65,000票の大差をつけ、福岡市長としては史上最年少の36歳で当選。現職の市長の中では7番目、現職の政令指定都市市長の中では3番目に若い。12月7日、市長就任。

引用:Wikipedia

福岡エリアでは有名なアナウンサーであった高島宗一郎さんが、チャンスを逃すことなく、政界へのチャレンジを行い、見事選挙に当選した経緯も書かれていますが、政令指定都市市長の中でも非常に若くして当選されたことで、良くも悪くも様々な風を感じることとになります。

高島宗一郎市長のブログ

そうした苦悩も書かれている中ですが、ビジネスの現場においても新しいチャレンジをするなかで様々な壁にぶち当たります。そうしたとき、どんな信念を持ち仕事に取り組めばよいかといったことを教えてくれます。

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「福岡市を経営する」印象深いフレーズのレビュー

認めてもらうためには、小さくても結果を出し続ける

実績のない若者が認めてもらうためには、まずは小さくてもいいから結果を出すことが大切だ、と考えました。結果をださない限りは、何を言っても説得力がありません。

若くしてマネジメントをする立場になると、現在マネージャーを務めている人からの逆風に会うことも多いです。そうした人を黙らせるには笑 ここに書かれていること同様に、小さくてもいいから結果を出すことが重要です。それが数字で見えるような分かりやすい結果であればなおよし。

若くして市長となった高島さんも、数多くの逆風にさらされながら、圧倒的な福岡市の成長に寄与してこられました。我々ビジネスマンにおいても、声高にビジョンを語ることのみならず、やはり最後は結果が物語るということは変わりません。まずは100点でなかったとしても、「この領域はきちんと結果を出しているのだ」ということを外部に対しても発信すること、その積み重ねによって周りから認められるようになっていくのです。

「部分最適」ではなく「全体最適」で決断する

私はこの「余裕」が極めて大切であると考えています。リーダーとしてもっとも大切なことは、常に冷静に判断する精神状態でいることだからです。

市長という仕事は、様々な会合への出席依頼がひっきりなしに行われます。それを一つ一つ丁寧に対応していたら、一人の体ではこなすことができません。それらを全体最適で考えた時に必要なものだけを採用していくことが重要であると書かれています。そして、そこで生まれた余裕を、意思決定に注いでいくのです。

マネージャーにおいても、部分最適に陥ってしまいがちなシーンがよくあります。チームの1名の不調を理由に、その部分だけをフォーカスし、そこにボトルネックがあるととらえてテコ入れをしていくことで、一時的には、曽於不調のメンバーの復帰は見込めるかと思いますが、そうしている間に、ほかの不調なメンバーが生まれてきてまたイタチごっこになってしまう。本質的には、チーム全体でその不調をカバーできる仕組みづくりに精力を注ぐべきであるのにもかかわらず、部分最適を図ることで悪影響を及ぼす例です。

リーダー・マネージャーの仕事は、意思決定をしながら成果を出していくことにあります。小さな部分の事象にとらわれることなく、全体を俯瞰的に捉え、ボトルネックに対して対策を講じていかなければなりません。

「決めない」は最悪の選択

スピードは最大の付加価値。だからこそ、決断はなるべく早く行うことが重要なのです。

リーダーの仕事とは、決断すること、何かの意思決定をすることにあります。マネージャーというポジションも同様に、意思決定をしながら成果を出していかなければならないポジションにあるはずです。A案とB案があって、どちらもメリットデメリットがある中で、「決めない」ということは最悪の選択。どちらにせよ障害は出てきますし、何もしないことによる損失の方が大きくつくことが多いです。

まずは、成功するかはわからないけれど、決めることが重要。そのスピードをいかに上げられるかが、リーダーには求められます。

当然意思決定するまでに必要な情報収集などを踏まえたうえで、選択した選択しを政界にしていく努力は必要です。ただ、ビジネスにおける正解など存在しない、という立場に立った時に、その政界の確率を高めるために必要なことはやはりスピード。スピードが早ければ後から修正することも可能です。
まずは、決めるというプロセスから逃げないマネジメントが必要です。

批判よりも提案を、思想から行動へ

理想論だけで実現する世の中なら簡単でしょう。ただ「誰がリスクをとって、それを実現させるのか」「予算は誰が負担するのか」がいちばんの問題です。

全国の都市には、「まちづくり評論おじさん」というものが生息しているそうです。実現可能性を精査することを一足飛びにして、「べき論」や「理想論」を語る人のことだそうです。

ビジネスの現場にも、ビジョン実現評論おじさんというものは生息しています。自由気ままに、理想論を語ったとしても、実際にそれを遂行する現場の人間からは、誰がそれをやるのだ、という批判が出てきます。当然です。

そこには実現可能性を精査するというプロセスが抜けており、批判や思想だけが展開されているにすぎません。

具体的な提案と行動がなければビジネスマンは何も変えることはできないのです。提案した人が自らリスクをとって行動することで、周りからの信頼を得ることができます。そこから少しずつ小さな結果を出していくことで、協力者も生まれ大きな力が働き、結果的に成功に近づいていくのです。

明日死ぬかのように今日を生きる

かのスティーブ・ジョブズも、母国スタンフォード大学の卒業式でのスピーチで同様の名言を残しています。

もし今日が人生最後の日だったら、今日やることは本当にしたいことなのか?この問いに「NO」が何日も続くのなら、なにかを変えなくてはならない。

マネジメントする側の人間に関わらず、すべての挑戦者にとっては、人生は有限でとても短い。明日死ぬとわかっていたら今日をどう過ごすか、そうした思いで働くことが重要であることを教えてくれます。

現在30歳であれば、もうビジネスキャリアとしてのコアタイムは折り返しに差し掛かっています。これ前の人生を振り返り、明日死ぬかもしれないと思いながらも漫然と日々を過ごすのか。自分のキャリアは自分で作り上げなければなりません。

「福岡市を経営する」まとめ:すべての挑戦者が読むべき一冊

現職の市長がまとめた本ということで、選挙、政治にまつわる話が中心ではありましたが、実際にはビジネスの現場においても重要な視点がふんだんに書かれている著書でした。

裏表紙には「すべての挑戦者」とあります。高島さんも日々挑戦をしながら福岡市の行政を担っています。政治家はチャレンジというモノからは遠い存在かと思っていましたが、高島さんのこれまでの実績などを見ると数多くのチャレンジをしてきた方だとわかります。

ビジネス現場においても挑戦から目を背けることなく、日々チャレンジをしながら成長していくうえでは、大変参考になる本でした。

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