電通と博報堂 驚異の仕事ぶり
究極の家内制手工業&肉体労働の世界で、おのれの頭脳と肉体を限界まで酷使する大手広告代理店マンたちの壮絶な仕事ぶり。博報堂に18年間勤めた著者が見た大手広告代理店のすごい人たち。
・プレゼン現場で過労で倒れながらも勝利を手にした熱血ディレクター
・路上に身を投げ出してお得意様のタクシーを停める“体当たり営業"
・閉じ込められたエレベーターのドアを素手でこじ開け脱出した営業マン
・大量の販促物を刑務所で作らせてプレゼンに勝ったSPディレクター
・ドンペリ3本を床にこぼして、クラブのソファ席を空けさせた某社長
・秘書との不倫旅行が妻にバレて会社で2人に大ゲンカをされた管理職
誰もが知っている日本の大手広告代理店二強である、電通と博報堂。その2強の仕事ぶりを、かつて博報堂に18年務めた著者が解説します。
広告代理店の仕事とは?広告代理店はブラック?いろいろとステレオタイプとしてささやかれている様々なうわさに対して、実際に働いていた方からの視点で切り取ったすごい人たちのエピソードには生々しさがあり、また、大手広告代理店というのは、「ここまでするのか」といったレベルの高さ(?)を感じます。
本著をオススメする人
- 広告代理店を目指す就活生
- 広告代理店の業界研究をしている人
- 電通と博報堂が何をしているのか知りたい人
- 広告代理店はブラックといわれているが本当か知りたい人
など、電通と博報堂についての真実を知りたい人にとっては、生々しく描かれた様々なストーリーが、分かり易く解説されています。
大手広告代理店のすごい舞台裏:目次
- 第1章 大手広告代理店マンのすごい仕事ぶり
- 広告代理店は家内制手工業!?
- 最後に大事なのは何か? ――広告代理店営業マン向きの人材とは
- 広告代理店の代表 ――電通マンの思い出1
- すごい営業マン ――電通マンの思い出2
- すごい制作ディレクター1 ――最後の瞬間までベストを追求しろ!
- すごい制作ディレクター2 ――写真で壁を埋め尽くせ!!
- すごい制作ディレクター3 ――たとえ倒れてもプレゼンに勝て!
- すごいセールスプロモーション担当 ――工場がなければ刑務所で作れ!
- 第2章 大手広告代理店マンの素顔
- スーツは戦闘服である ――広告代理店マンの身だしなみ
- 仕事がデキる男はやっぱりモテる ――合コン&不倫事情
- タレント事務所との付き合い方 ――魑魅魍魎の住む世界を覗く
- 協力会社との付き合い方 ――代理店マンを陰で支えるエキスパートたち
- やっぱりコネはすごいよ ――縁故採用の実態
- 営業マンのちっともクリエイティブじゃない1日
- 第3章 営業マンのすごい接待
- 大手広告代理店の接待の実態
- 飲ませろ・抱かせろ・やらせろ ――本当の『電通“裏"「鬼十則」』とは
- もはや神話? バブル期「超接待伝説」1 ――タクシーは体で止めろ!
- バブル期「超接待伝説」2 ――深夜の秘密指令・電通を排除せよ!
- バブル期「超接待伝説」3 ――席がなければ力づくで空けろ!
- バブル期「超接待伝説」4 ――六本木の高級クラブで日本代表を応援せよ
- 打ち合わせこそすでに接待である ――得意先を気持ち良くさせる交渉術とは
- 第4章 大手広告代理店の知られざるお仕事
- 広告代理店の海外進出は難しい
- ワールドカップとオリンピックは4年に1度の錬金術
- 万博という巨大な祭りは過去のものか
- Jリーグは博報堂の乾坤一擲
- 自民党は電通、民主党は博報堂
- 第5章 大手広告代理店のメディアコントロール
- 身の回りのさりげないメディアコントロールを検証する
- 犯罪は激減しているのに報道されない
- 自動車事故の報道でエンブレムは映らない?
- 刑事ドラマの犯人もシートベルトをしている?
- 言葉狩りも代理店の仕事?
- 日本のテレビドラマがつまらくなったのは代理店のせい?
- ポスターやビジュアル広告は修正されている
- アマゾンで売上3カ月間1位の本がマスコミで無視されるワケ
- わが国史上最凶最悪のメディアコントロールは「原発」
- 第6章 大手広告代理店の黄昏
- ポストテレビスポット時代にドル箱はあるか
- 実は脆弱なデンパクの経営基盤
- ネット広告は単価が安過ぎる
- 昔エリート、今肉体労働者? ――広告代理店マンの凋落
- 広告代理店はどこへ向かうのか
広告代理店営業マン向きの人材とは
頭脳明晰でやる気に溢れ、社内だけでなく得意先からも高く評価されている人が生き残れるとは限らない
広告代理店の営業マンは、それはそれはタフな仕事です。ヤマシタも広告業界でキャリアをスタートさせましたが、競合プレゼンともなれば、睡眠時間を削って、提案を考えることもさることながら、社内のデザイナーや各部署との調整など多岐にわたる仕事を素早くこなしていかなければなりません。
広告代理店営業マン向きの人材とは、頭が良いだけでは乗り切れず、タフさが必要になります。当然クライアントの要望を的確に見極めるセンスとヒアリング能力、それ以外にも接待などを含めた、クライアントの気持ちを汲み取る力が必要になります。
そんな具体的なスキルを経験に基づき紹介してくれているのが本著。広告業界を目指す文系学生にとっては非常に参考になるのではないでしょうか。
仕事がデキる男はやっぱりモテる
最初にはっきり言っておくと、広告代理店マンは昔も今もモテる
モテる会社の筆頭株である、大手広告代理店、電通博報堂。やはり、実際に働いていた方が書いていることもあり、それは真実のようです。
社名のブランド力もさることながら、やはりワイルドに仕事をこなしていく広告代理店マンは仕事ができる人が多く、それは女性を扱うのも上手だということ。社内でも男女関係は派手であったようで、そこも興味深い内容が書かれています。
大手広告代理店の接待の実態
だから接待といえば、平日なら銀座と六本木のクラブ活動。休日ならゴルフ。もちろん得意先と出張に行けばその先で飲み、CMの撮影で地方ロケに行けばそこでまた飲む。だから、絶対ではないが、酒が苦手な人は広告代理店の営業職には向かない。
やはり誰もが知りたい、広告代理店の接待事情。そこについても、事細かに書かれています。接待の内容、タクシーのお無理迎え、果てはそのタクシーの止め方に至るまで、驚愕の内容がいくつも詳細に描かれています。
タクシーは体で止めるもの、という謎の常識も交えながら、どこまでもクライアントを心地よくすることを考えたあらゆる接待の手法が描かれています。
自民党は電通、民主党は博報堂
選挙は広告代理店にとっても重要な収益源だ。
ここでも自民党は電通、民主党は博報堂と色分けが決まっている。
選挙の手法としてテレビCMなどがオンエアされるようになってここ20年ぐらいということですが、ここでも電通と博報堂の力量が発揮されています。
自民党は電通の担当、民主党は博報堂の担当ときっちりと色分けがされているのです。電通と博報堂は何の仕事をしているのか、誰もが思う、実際の仕事の現場を含めて、本著では事例を紹介しています。選挙の仕事もその一部。広告代理店の仕事の裏を垣間見ることができる、業界研究にも生かせる一冊に仕上がっています。
まとめ:電通と博報堂が圧倒的に強い理由は明確にある
この本を読むとよくわかるのが、電通と博報堂の仕事に対する姿勢とその熱量。いろいろとブラックだとか厳しいことも言われていますが、クライアントに向き合う姿勢や、そこに注ぐ熱量は、ほかの会社を圧倒しています。
こうした熱量の差が、電通と博報堂が他の広告代理店を圧倒している所以なのだと気づかされます。
広告代理店がやっている仕事を知りたい、電通と博報堂の強さの秘密を知りたいなどの想いを抱えた方々には最適の一冊です。