あり金は全部使え!
ホリエモンの著書。またもやセンセーショナルで強烈なインパクトを放つタイトルの一冊。タイトルに惹かれて思わず購入してしまいました。
- 貯金をするな
- 銀行(他人)に金を貸すな
- 自らの欲望のままに金を使って経験値を上げろ
- 時間を金で買え
こうした尖った文言をそれぞれホリエモン哲学の切り口で解説したのが本著です。これまでの日本人の大衆的な人生観からすると異質の考え方でもある内容ですが、読み解いていくとそれほど奇抜なことを言っているわけでもない、ということがわかると思います。特にこれからを生きる20代の方にはぜひ手に取って読んでいただきたい一冊です。
あり金は全部使え:目次
- はじめに 冬に備えないキリギリスであれ
- Phase 1 マインドセット 安定志向はゴミ箱に捨てろ!
- 限界を超えてお金を使え
- 銀行預金は「不安の貯金」
- リスクに飛び込め
- 組織に頼るな
- 持ち家は買うな
- 貸し金は捨て金と知れ
- 死んだあとなどどうでもいい
- Phase 2 行動革命 欲望のままに遊び倒せ
- 何でもやれ
- 小遣い制は絶対やめろ
- 恋愛は死ぬまで続けろ
- 連れ込むのは高級ホテルにしろ
- 行ける飲み会には全て行け
- 没頭しろ
- 株より遊びに投資しろ
- ブレーキを壊せ
- サボれる家族サービスはサボれ
- Phase 3 時間革命金で買える時間はすべて買え
- 困ったら借りろ
- 財布は落として構わない
- 掃除・洗濯はするな
- 田舎を出ろ
- 人に任せろ
- 高くても都心に住め
- タクシーを使え
- 行列に並ぶバカになるな
- Phase 4 習慣革命 チンケな節約をやめろ
- 昼から迷わずうな重を食え
- スマホは最高スペックにこだわれ
- ジムに行け
- 思考の筋トレを怠るな
- オシャレに気を配れ
- デートでの「多め出し」をやめろ
- 邪魔なモノは捨てろ
- Phase 5 信用構築 財産を信用に変えろ
- 手柄は人にやれ
- 人助けに金を惜しむな
- 欲しいモノはすぐに買え
- 1の価値を100にしろ
- 甘え上手であれ
- 誰より早くやれ
- 金持ちを目指すな
- バランスを外せ
- Phase 6 終わりなき拡大 ゴールを設定するな
- おわりに 使った後悔より使わなかった後悔
「貯めること」そのものを目的とした貯金に意味はない
何らかの目的があって、貯めているのは別にいい。でも、特にこれといった使い道がないのに、預金通帳にお金を余らせ続けるのは、本当に愚かしいことだ。
あり金は全部使えといい、貯金を否定しているホリエモンですが、貯金そのものを全否定しているわけではありません。何らかの目的をもって貯金することは重要であり、一方でこれといった使い道もなく銀行にお金を預けていることに対しては非常に厳しい意見を持っています。
銀行へ貯金をすることというのは、銀行にお金を貸していることと同義なのです。お金が大事といっているのにもかかわらず、その大切なお金を赤の他人である銀行に貸し付けている、という構図自体が異質であるとホリエモンはいいます。
たしかに、こういうことがしたいからいついつまでに貯金をしている、という明確な目的と期限を作っている人はそれほど多くないように思えます。無期限でお金を銀行に預けておくことで、未来への備えをするというのが一般的な解釈だと思いますが、貯めていることそのものでは何も価値を生み出さず、自分自身の価値変化も起きません。
それであれば、あり金を全部使うことで、初めての経験・素晴らしい人との出会いといった新たな価値観を創出してくれるきっかけづくりをしていく方が、よっぽど自分のためになり、それこそ将来の自分に対しての投資ともいえるのではないでしょうか。
お金が貯まってから始めることは「歳を取るリスク」を考えていない
チャレンジや経験は、年齢を重ねるごとに難しくなっていくものです。人生の中では誰しもが「歳を取るリスク」を抱えています。仕事においても恋愛においても、あらゆることは「今が一番若い」のです
そして、若くして得られた経験は、年齢を重ねた後にする経験の何倍もの投資効果になります。経験値を基にして新たな経験をする際に、成長曲線の発射台が若い方が高くなることは想像に容易いと思います。
しかし、お金がない中で新たなことに挑戦できない人はどうすればよいのか?答え位は簡単で、借金をすればよいとホリエモンはいいます。
若いうちは、投資のレバレッジを、いくらでも効かせられるのだ。お金がない? だったら借りればいい。それが正解だ。
借金を背負うリスクと歳を取るリスク、これらを天秤にかけたうえで物事を判断していくのが賢い人生の歩み方だと思います。
貯金型思考から投資型思考へのシフト
貯金することそのものに価値はなく、使うことで自らが生産性を高めてさらなる価値発揮ができる、というのが本著の主張だと考えられます。これを貯金型思考から投資型思考という言葉で考えてみると非常に分かりやすいと思います。
重ね重ね、貯金することそのもの自体への価値はないとお伝えしました。お金は使って初めて価値が生まれる、ここでいう投資型思考というのは、株式投資や不動産投資といった類への参画を推奨しているわけではなく、自分のやりたいこと、楽しいことに対して投資をしよう、ということを指します。
現代社会においては、モノそのものではなく付加価値に対して対価が支払われます。「遊び」がその最たるもので、遊びを通じた経験をさらに情報として発信していくことで新たなお金を生み出すことができます。これはYouTuberなどを見ていてもよくわかります。
テクノロジーの進化によって、全ての人に膨大な余暇が生じ、遊びが人生の中心になる時代は、遠くないうちに実現する。
インターネットの台頭からAIに至るまでテクノロジーはこれからも更に進化していきます。それによって我々の仕事部分の時間を短縮することができ、余暇が生まれ、「遊び」が人生の中心になるだろうというのがホリエモンの主張です。
そんな時代がやってきたときに、真に強いのは「遊び」に没頭し続けてきた人であることは誰しもがわかることでしょう。
あり金は全部使え:まとめ
- 貯金のための貯金をしてはいけない
- お金は持っているだけではなく使って初めて価値を持つ
- お金を使うことで自分自身の価値が膨らみ、新たな生産への循環が生まれる
本著は、「あり金は全部使え」という切り口から、生き方に対する哲学を説いた本です。純粋にあり金をすべて使い一文無しになれ、ということではなく、無意味な貯金信仰を捨て、生き方に対しての意識改革を使用、ということが書かれています。
人は常に、自分のやりたいことのために生きるべきだ。
自分のやりたいこととは何か、そしてそれを今思い切り、自分に嘘をつかずできているだろうか、こうした自問自答を繰り返しながら日々を生きていくことが健全だと思うのですが、どうしても日々の仕事の忙しさなどから、本当に自分のしたいことができていない、と嘆いている現代社会人は多くいます。
こうした本を手に取り目を通してみるだけでも、少しは視野が広がり、気持ちも楽になるのではないでしょうか。若者を中心に絶大な信頼を得ているホリエモンの哲学の一端を垣間見ることができる一冊、オススメです。