『ニュータイプの時代 新時代を生き抜く24の思考・行動様式(山口 周)』の感想・レビューまとめ【書評】
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現代社会はニュータイプの時代である

本著では、ニュータイプオールドタイプという2種類の人材について語られています。現代社会の中で、これまで評価されていた人材を「オールドタイプ」今後大きな価値を生み出し評価される人材を「ニュータイプ」とよんでいます。
  • オールドタイプ:従順で、論理的で、勤勉で、責任感の強い人材
  • ニュータイプ:自由で、直感的で、わがままで、好奇心の強い人材
    今後「オールドタイプ」は急速に価値を失い、「ニュータイプ」が大きな価値を生み出し、評価され、本質的な意味での「豊かな人生」を送ることになるといいます。本著ではそのニュータイプが持つ思考法、行動様式、価値観などにフォーカスを当て、新時代を読み解く内容となっています。令和新時代を生き抜くビジネスマンにとってマストな視点が語られる一冊です。
    「オールドタイプ」から「ニュータイプ」へ
    • 「正解を探す」→「問題を探す」
    • 「予測する」→「構想する」
    • 「KPIで管理する」→「意味を与える」
    • 「生産性を上げる」→「遊びを盛り込む」
    • 「ルールに従う」→「自らの道徳観に従う」
    • 「一つの組織に留まる」→「組織間を越境する」
    • 「綿密に計画し実行する」→「とりあえず試す」
    • 「奪い、独占する」→「与え、共有する」
    • 「経験に頼る」→「学習能力に頼る」

    「ニュータイプの時代」著者:山口 周(やまぐち しゅう)

    山口周(やまぐち・しゅう)
    1970年東京都生まれ。独立研究者、著作家、パブリックスピーカー。ライプニッツ代表。
    慶應義塾大学文学部哲学科、同大学院文学研究科修了。電通、ボストン コンサルティング グループ等で戦略策定、文化政策、組織開発などに従事。
    『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』(光文社新書)でビジネス書大賞2018準大賞、HRアワード2018最優秀賞(書籍部門)を受賞。その他の著書に、『劣化するオッサン社会の処方箋』『世界で最もイノベーティブな組織の作り方』『外資系コンサルの知的生産術』『グーグルに勝つ広告モデル』(岡本一郎名義)(以上、光文社新書)、『外資系コンサルのスライド作成術』(東洋経済新報社)、『知的戦闘力を高める 独学の技法』(ダイヤモンド社)、『武器になる哲学』(KADOKAWA)など。神奈川県葉山町に在住。

    ◆ニュータイプの時代の6大メガトレンド
    1. 飽和するモノと枯渇する意味
    2. 問題の希少化と正解のコモディティ化
    3. クソ仕事の蔓延
    4. 社会のVUCA化
    5. スケールメリットの消失
    6. 寿命の伸長と事業の短命化
    冒頭、現代社会のメガトレンドについて触れられます。世の中が大きく変わってきているな、と肌感覚で皆さんもお持ちである感想を、より体系的に取りまとめた6つの要素に分かれています。本記事では、その中でもヤマシタが印象に残った内容をご紹介します。

    モノ消費からコト消費へのシフト

    もはや使い古された言葉ではありますが、改めてモノからコトへ」という視点を、ニュータイプの時代では思い起こさせてくれます。
    現代社会は、モノが溢れています。 技術革新が進み、人々の役に立つ機能を持った製品が数多く生まれ、我々の暮らしを豊かなものにしてくれました。一方で、モノのコモディティ化が進行し、製品ごとにみたときの差別化要因は少なくなってきています。
    そんな時代で、高価格帯であってもヒットを飛ばす製品というものはあります。それらに共通しているのは「意味」です。
     商品におけるストーリーなどとも言い換えられますが、わかりやすい例がアップル製品。アップルの製品としてのスペックは他製品と比べても圧倒的優位性を持っているかと言われれば、当然国産メーカーなどであっても代替できるものは数多く存在します。
    それでも、熱狂的なアップル信者がいるのにはあ、アップルがもつ世界観やストーリーに惚れ込んでいるからに他なりません。
    競合とのビジネスにおける熾烈な戦いの中においても、これらの「意味」にはオンリーワンの価値があります。機能=役に立つ 度合いでの差別化はもはや困難であり、意味=ストーリーに価値がある時代になっているのです。
    そして、現代社会では、この「意味」が枯渇しているといえます。
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    論理思考を極限まで磨き上げても意味はない

    ストーリーや意味という考え方は、人間が完成から生み出すものです。AIやコンピューターによって代替することは難しい領域です。計算では生み出せない領域であり、人間らしさ、その人らしさを存分に発揮することができる要素になります。
    計算能力を高めていくことで、論理的思考を磨き、問題を解決することでビジネスにおける正解にいち早くたどり着く、ということがこれまでの社会では叫び続けられていました。
    しかし、現代ではその「正解」を解決することに大きな価値はありません。問題解決の世界では「問題」を「望ましい状態と現在の状況が一致していない状況」と定義しますが、その望ましい状況が定義できない人材が増えているのです。
    「問題の不足」という状況は、そもそも私たち自身が「世界はこうあるべきではないか」あるいは「人間はこうあるべきではないか」 ということを考える構想力の衰えが招いている、ということなのです。
    私たちは、「ありたい姿」のことをビジョンと表現しますが、つまり「問題が足りない」というのは「ビジョンが不足している」というのと同じことなのです。
    本著では、「問題が過剰で、解決策が希少」な時代から 「問題が希少で、解決策が過剰」な時代になったと書かれています。
    これからの新時代で必要になるのはまさしくこの視点であり、多くのリーダーに必須能力として、「問題を設定する力」が求められてきます。課題を設定して解決する能力は、技術革新がこれだけ進行している世の中において、コンピューターに勝るものはありません。AIの台頭も間近になった現代においては、定量的な計算で導きだせる問題解決は、我々がやらなくてもよい仕事になっているのです。

    仕事における「意味」を考える

    目の前の仕事に対して意味を見出すことができるか。これは我々が働く上でもこの先も重要な視点になってくるでしょう。これだけ技術革新が進んだ世の中でも、我々の仕事は全く減るどころか、働き方改革を国が推進するほどに増加しています。
    これは、数多くの「クソ仕事」が蔓延しているからに他なりません。クソ仕事には意味がありません。人間は意味のない仕事をやることは拷問に近しい苦しみを覚えます。やりたいなどにも通じる「仕事の意味」を、今一度考え直すことが必要になっています。
    そして、意味を見出すことができると、内発的なモチベーションを保つことができます。過去の多くの競争において、上司からの指示によって動いているリーダーと、内発的モチベーションによって動いているリーダーの間では、必ず後者が勝利しています。熱中している人が何よりも強いというのは多くの成功者が異口同音に唱えている考え方です。
    現代社会において成功している大企業の多くは、一人の熱狂的なモチベーションから生まれており、別の大企業の大きな資本を持って生まれたものは少ないです。歴史上に裏打ちされているように、仕事における意味、モチベーションの強度というのは、パフォーマンスに大きな影響を及ぼし、これからの時代における働き方にも通じる重要な視点です。

    ニュータイプの時代:まとめ

    本記事では、「ニュータイプの時代」を大きく二つの視点から切り取りました。
    • 「問題を設定する力」が重要になる
    • 「意味」を持つことが大切である
    これまでの世の中とは違う、ということは多くのビジネスマンが感じているところだと思います。そんな中でどんな視点を持っていれば良いのか、漠然とした不安に本著はいくつかの示唆を与えてくれます。例話時代をどう生き抜くべきか、新たな時代に漠然とした不安を抱えているビジネスマンにとっては、一読するだけでも、多くの考え方に触れることができる良著です。近年でも特にオススメの一冊です。
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