「ワンピース世代」の反乱、「ガンダム世代」の憂鬱
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「ワンピース世代」の反乱、「ガンダム世代」の憂鬱

「ワンピース世代」の反乱、「ガンダム世代」の憂鬱

コミック『ワンピース』は現代の20代に大きな影響を与えた。彼ら「ワンピース世代」とは、自由と仲間を最重視する”ヨコ社会”に生きる。一方、彼らの上司世代で、青年期に『ガンダム』に強く感化された現代の40代は、会社に滅私奉公することを余儀なくされ”タテ社会”から逃れられない。全く異なる二つの世代が共存する社会、企業にはどんな問題があるのか? その解決策とは? 気鋭の著者が説く。

2011年と10年近くも前になる本ですが、非常に面白い切り口で書かれた本であり、2020年に対するシミュレーションが描かれています。
本著の校正の中心にあるのは、「ワンピース世代」と「ガンダム世代」といった対比。具体的には、

  • ワンピース世代:1978年~88年生まれ
  • ガンダム世代:1960年~69年生まれ

という世代間の事を指します。

それぞれの世代における人格形成の中心となったであろう漫画を、ワンピースとガンダムに置き換え、それぞれの作品の印象から、形成される人格が異なる、ということが本著の中心的な論として描かれています。

「ワンピース世代」と「ガンダム世代」の価値観の違い

ワンピース世代の特長

公私という区別が、仕事とそれ以外の間で区別されており、「仲間」と呼ばれる、私的な関係内におけるコミュニケーション能力が非常に高いことが特徴の一つ。物心ついた時から日本社会の不況の真っただ中ですごし、政治に対しての猜疑心から、社会に対する信頼も非常に薄く、自らの意志で生きていくことを志向している、そんな考え方によって日々を生きているのがワンピース世代です。
ワンピースの世界観では、海賊を中心とした世界が描かれますが、登場人物も非常に多く、それぞれの正義の名のもとに、バリエーション豊かな価値観が登場します。主人公のルフィは、海賊王を目指し冒険を続けていますが、最終的な彼のゴールは「自由」であるということ。権力に対する関心がなく、自らの意志を強く主張し、その価値観に沿った行動に価値を見出しています。こうした漫画を通じて人格形成がされた世代の事をワンピース世代と定義づけています。

ガンダム世代の特長

ひと世代上の団塊の世代が作り上げてきた、高度経済成長の日本社会の中で、歯車として働く事を目撃し、自ずと自らもそのような生き方をしていくのだ、という感覚を覚えている。バブル期の日本社会も知っており、終身雇用の世界で生きていたタテ型の社会で生き延びていくためのすべを身につけている人として描かれているのがガンダム世代です。組織に尽くす、ということを強要され、そこに疑問を描くこともないのは、まさしく機動戦士ガンダムの世界観が、タテ型の社会を描き、世の中の理不尽さにあえぐ若者が主人公であるためであると筆者は言います。

「ワンピース」も「機動戦士ガンダム」もどちらも不朽の名作として日本のカルチャーとして定着しています。それぞれに良さがあり、どちらに優劣があるといったことはありません。
私たちは思っている以上に、その時代に流行したものの影響を受け人格が形成されています。その世代で中心的な流行を博した作品の特色を受け、人格に大きな差が生まれるというのはごく自然なことなのです。

令和時代のリーダーシップとは

  • 仲間と生きていく
  • 繋がりを重視する
  • 「みんな」で達成感を味わいたい

こうした世界観を持ったワンピース世代とガンダム世代の間には大きな溝があり、分かり合えないという状況に陥ることがままあります。「最近の若い者は」というセリフは、どの世代においても存在する世代間の確執を生み出すセリフの一つですが、現代社会、令和時代を生き抜いていくために必要なこととは何でしょうか。

ワンピース世代がいう「みんな」というのは、会社というコミュニティに限りません。会社はあくまでも複数あるコミュニティの一つでしかなく、外にもコミュニティを数多く持っているのがワンピース世代、その中でのリーダーシップを発揮できる人材とは、多くの「共感」を得られる人物ではないかと考えられます。

ワンピースの作品の中において、主人公ルフィは海賊王を目指しているが、それは、「自由であること」を求めて日々冒険を続けています。ルフィの麦わら海賊団は、船長はルフィですが、必ずしもタテ型の主従関係ではなく、ヨコ型の「仲間」として描かれています。そのため麦わら海賊団の一味は、それぞれの目的や価値観に沿って行動するというシーンが数多く描かれます。
ただし、船長であるルフィの考え方に必ず「共感」を持ち、共に歩んでいこう、という意思が描かれます。ルフィと一味の間には信頼関係が構築されていますが、それを繋ぎとめているのは、この「共感」という点ではないでしょうか。

SNSの普及によって、コミュニケーションの手法も大きく変化しました。インフルエンサーと呼ばれる存在は、リアルのつながりでは見ず知らずの赤の他人であることがほとんどです。しかし、その他人の発信に対して「共感」を覚え、インフルエンサーの発信しているお店に行ったり、ものを購入したりする、実際の行動変化を起こしているということをきちんと理解する必要があります。
共感するためには、仲間としてみなし、それを認める必要があります。必ずしもお互いの価値観を理解できるかは分かりませんが、少なくとも相手の価値観に対して「共感」ができるかどうか。ワンピース世代は、それによってこの人について行こう、となるかどうかが決まっていると言っても過言ではありません。リーダーシップを発揮する上で、仲間に対しての発信と共感を中心としたコミュニケーションがいかに重要か、作品をまたいだ人格形成が、リーダーシップ論をも変革している時代がやってきているのです。

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ワンピース世代のリーダーシップ:まとめ

「ワンピース世代」と「ガンダム世代」という切り口で、現代社会を生きる若者と管理職世代との対比を描いた本著ですが、まさしく令和の時代を生き抜くうえで、多くの人の考え方が変化してきていることを改めて痛感させられる一冊でした。
ヤマシタもまさにワンピース世代の人間ですが、これからはさらに下の世代がやってきます。「鬼滅の刃世代」とでもなるのかもしれませんが、それはまた別の人格をもった世代としていずれ紹介されることになるでしょう。
いずれにせよ、現代社会のリーダーシップを発揮するために必要な視点として「共感」が挙げられます。共感を得るための意識とコミュニケーションがとれているかどうか、今一度自らを省みるいい機会になる一冊でした。

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