SHOWROOM前田裕二の本『メモの魔力』レビュー ビジネススキルや自己分析に役立つ一冊
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SHOWROOM前田裕二の著書「メモの魔力」

夢に日付をつけると叶う、言葉は現実になる、などの言葉に象徴されるように、思考を何らかの形で具現化すると未来を変えられる、といった考え方があります。本著では、前田裕二さんが日頃行なっている、「メモ」という手段を通じて、いかに人生を豊かにし、夢を叶えられるか、と言ったことが具体的に書かれています。オカルトじみた思考の中から、「なぜそうなるのか」と言ったことをこれほど踏み込んで具体的に書いている本はありません。まさしく読んで字のごとくメモの魔力、メモには魔力があるということを前田裕二さんは書かれています。

前田裕二さんの初の著書「人生の勝算」でも言及されていた、「想いの強さがビジネスにおいても成功要因である」といったことが、本著ではより具体的に描かれています。

本ブログはビジネスマン向けの記事を綴る場所ですので、ビジネスの現場においていかに本著が役立つか、と言った視点に立ち、本著「メモの魔力」をレビューしていきたいと思います。

メモの魔力(前田裕二):印象深いフレーズ

これは単純な、「記録のためのメモ」です。しかし、この作業は、極論すると、人間がこなすべきタスクではなく、ロボットにでもできます。むしろ、無機質な情報をただ記録するだけですから、コンピュータが最も得意とする領域でしょう。

AIが台頭している現代社会の中で、「人間にしかできないこと」というものは高い価値を持ちます。また、その価値を発揮できない人材は、仕事がなくなるとさえ言われています。ファクト(事実)を羅列しただけの「記録のためのメモ」は、その機能こそ有用であれ、人間にしかできないことに集中したいし、すべきではないでしょうか。

メモの魔力と題された本著でその具体的な魔術を前田さんは惜しげも無く披露しています。現代社会でバリバリとビジネスをしているビジネスマンにとっては、AI社会の台頭の懸念は少なからずあることでしょう。そんな時にもメモの魔力は役に立つという示唆をくれ、明日から実践すべき内容になっています。

 

「ファクト→抽象化→転用」という最強のフレームワーク

知的生産のための具体的なメモの手法の項目。ファクトとはただ情報をそのまま記載しただけですが、ここで重要なことは「抽象化」というフェーズ。大阪のおばちゃんのアメちゃんの話が例に挙げられていましたが、これは「ある事象から抽象化して言えそうなことを残す」ということになります。大阪でとある広告を打った時に、大阪のおばちゃんよろしくアメをつけて配ったら、東京の3倍効果が高かったそうです。

「東京よりもアメをつけることで広告の効果が高かった」
これは、「東京よりも大阪の方が直接的なインセンティブに価値を見出している」という抽象的な仮説が生まれます。具体的な情報から、より一般的で汎用的な気づきや法則はないだろうか、こう考えることが抽象化であると言われています。

さらにここから「転用」というフェーズに入っていきます。SHOWROOMでの「投げ銭」が、東京と大阪では格差があるという調査結果が出ました。これは単純に大阪の人がお金を使わないわけでも、ケチだということでもなく、実際に有名芸人の講演は、大阪でも連日満席売り切れ状態。ここから「本質的に価値を感じるものには金を払うことを厭わない」といったことが考えられます。「大阪人にとっての価値があると感じるものが、東京でのそれと属性が違うだけではないか」と言った仮説を立てることができます。更に、それに対しての施策として新たなビジネスモデルを検討することも可能です。

元は「大阪でアメちゃん付きのチラシを配ったら東京の3倍効果があった」というファクト(事実)でしかなかったメモが、抽象化と転用によって、新たなビジネスモデルを生み出すきっかけにもなるのです。

これには衝撃を受けました。一つの事実から抽象化させ、そこからアイデアを膨らませるという手法。これこそメモの魔力だと感じる一節です。

さらにここでは、抽象化の手法についても言及されています。様々な手法がある中でも、非常にわかりやすかったポケモンの話を一つご紹介します。

ポケモンというゲームでは、各ポケモンに火や水といった様々な属性があります。そしてその属性ごとに効果が増大します。これを抽象化すると「相手によって効果的な攻撃を変えるべき」といったことがいえます。そこから転用すると、「就職活動の面接においては、面接官の特徴に応じて話すエピソードを変えるべきだ」といったことが言えます。おそらく、就活の面接の話であれば、みなさん普段から無意識のうちにやっているような内容だと思います

しかし、この思考を構造的に分解し、それを言語化してくれていることは気づきとしては大きいです。こんな当たり前のことでも、メモを取り同じようなフレームワークを踏むだけで、先の大阪のおばちゃんの話に通じるように、ビジネスライクな条件であっても有意義に活用できることが言えるためです。

「ファクト→抽象化→転用」 というフレームワークを意識し、メモの魔力を使って知的生産活動に生かすことを心がけましょう。

 

「人生の軸」を見つける

ビジネスキャリアを歩んでいる最中で、自分が今取り組んでいる仕事にどれほど熱中できるか、という視点は、人生において成し遂げたいことと密接に関係しています。自分はどんな人生を歩みたいのかそのために何をすべきか、と言ったことを考えて人あっ日々生きていますが、どうしても日々の業務に忙殺されて、「緊急ではないが重要なこと」である、自分の人生の夢、ということを後回しにしがちです。

しかし、「自分を知る」ということで、自分の価値観を認識し、今何をすべきか、ということを考え直す機会を作ることができます。前田さんは就職活動の際に、自己分析ノートを作っていたと言っていますが、ビジネスマンにおいても改めて自己分析をする必要性を説いています。そして、ここでも抽象化→転用(具体化)という視点がとても重要です。

例としてあげられているのが、自分の長所への答えが「辛坊強い」と書いた人の話。
長所を辛坊強いとまでしているのでは自己分析としては非常に弱い。なぜ辛坊強いのか、何が自分を辛抱強くさせているのか、その原体験は何だろうか、ということを深掘りしていきます。
その特徴をより汎用的な形で、抽象化しておくことが必要です。辛抱強いということは誰にでも言えますが、それをより抽象化した答えはその人の原体験に基づくものであり唯一のものとなります。

特にキャリアアップのための転職などの際に、自分のキャリアを考え直す際にこの感覚は重要です。
自分は何をしたいのか、それはなぜか、と言ったことをしっかりを深掘りした上でキャリアを考えず、仕事内容や条件面などの表面的な要素に惹かれて働くことは難しいです。
例え一時的に満足のいくキャリアを描けたとしても、長くは続かないでしょう。「抽象化なくして自己分析は存在しない」と前田さんが断言されているとおり、ファクトの羅列に縛られていては、自分の本質は見えてきません。

自己分析を本質的に成功させるためにも、本著で挙げられているノウハウは大いに参考にすべきものであると言えます。

 

メモの魔力を使って人生を有意義に

特に本著では、若者に向けて読んでもらいたい本だと感じます。ヤマシタは30を越えていますが、学生時代にこの「メモの魔力」を手に取っていたら、また人生は別のものになっていたと思います。

もちろん、どの人生も正解不正解はありません。自分が最高だと思っている人生こそ最高に違いないと思います。しかし、人生のコンパスを見つける、という点において、早くからその発見ができる人は幸せだと思います。特に就職活動の際に、皆一様に行う自己分析というものをしっかりとやっている人間は、今後のキャリア形成において強力な活力を持ちます。とにかく若者こそこの人の本を読んで損することはない!と言えるでしょう。

また、若手ビジネスマンにとっても本著は非常に有意義な本になるでしょう。まだまだ今後のビジネスキャリアを明確に描けていない人にとっては、「人生のコンパス」を見つける上でメモを活用するという新しい視点を得ることが可能です。充実したビジネスキャリアを歩みたい、そう考えている若手ビジネスマンにとって、メモを取ることというのはもしかしたら縁遠いことなのかもしれません。

しかし、そんな中でも得られる知見は多く、実践してみたくなるような書き口調で描かれた本著は、同世代の人間には非常に多くの共感を呼ぶことでしょう。是非メモの魔力で人生を豊かに!

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