いま君に伝えたいお金の話の感想
その本質を教えてくれる本。
村上ファンド事件で一躍有名になった、村上ファンドの創設者「村上世彰」さんの著書。村上さんは、日本の子どもたちにお金の授業をしています。そこで語られた内容を取りまとめた一冊で非常に軽快な語り口調で、分かりやすくお金について教えてくれます。
みなさんは、お金は好きですか?
お金は汚いものだ、といった考え方を持っている人もいる中で、子どもはお金のことなんて勉強しなくてよい、という考え方もあると思います。
しかし、大人になれば否応なしにお金のことを知る必要が出てきます。
誰だって、生きるうえでお金が必要だし、お金なくして生きることはできません。いうなればお金は、生きていくうえで欠かすことのできない「道具」です。道具は上手に使うことができれば、自分も含め、人を楽しませたり喜ばせたり幸せにしたりすることができる。
生きていくうえでお金が不可欠なことは、誰しもが共感することですが、「お金が大好き」と声高らかに言うことに対して眉をひそめる人もいるかもしれません。そんな考え方に対して、「お金そのものに、良い悪いはない」ということを村上さんは教えてくれます。
いま君に伝えたいお金の話は「お金の本質」を学ぶことができる本
子どもに向けたお金の授業をしている村上さんの本著ですが、お金の知識が必要な今呼んでもとても勉強になる内用に仕上がっています。子どもにもわかるような語り口調なので、当然大人が読んでも分かり易く、かつ具体的にどのようにお金と向き合うべきかが書かれているため、読んだ後どうしたらよいのかまでをイメージすることができます。
「好きなことを仕事にして稼ぐ」
有名なYouTubeのキャッチコピー「好きなことで、生きていく」と類似するこの言葉ですが、お金のプロ中のプロである村上さんですら同様のコピーを語ります。
世の中にはたくさんの仕事があります。
選択肢は無数に考えられますが、どのような選択をしても、それはいずれも君自身の生き方に大きく影響を及ぼします。君自身の生き方、つまり君の幸せに大きく関係する。
だからこそ、僕には伝えたいことがふたつあります。ひとつは、できることなら、好きなことを仕事にすると人生が楽しくなるということ、もうひとつは仕事を考えるうえで、お金の問題を軽視してはいけないということです。
早くからこのお金についての本質を学べる本、仕事についての考え方を学べる一冊に巡り合える現代に生きる若者は幸せ者だと思います。
いま君に伝えたいお金の話:目次
- お金って何だろう?―お金のことを知ってお金に強くなる
- お金と世の中の関係―プライスタグから世界が見える
- 君がお金を手にする方法
- 働き方が大きく変わる
- 稼いだお金を貯めて増やす
- お金と向き合うための覚悟―お金が凶器に変わるとき
- とっておきのお金の使い方
お金は社会の血液だ
お金は、道具であると同時に、人間の身体でいう血液のようなものです。健康な体では、十分な血液が身体中を回って栄養や必要な成分を届けたり、逆に不要になったものを取り去ったりして、ひとつひとつの細胞の健康を保っています。血液が不足したりうまくめぐらなくなったりすると、必要な営業が必要なところに届かない、不要なものが取り除かれない状態になって、身体の具合が悪くなる。お金と社会の関係も同じで、社会の血液となるお金の動きが悪いと、社会も健康ではなくなってしまうのです。
村上さんは、お金に対する向き合い方として、徹底して
お金は稼いで貯めて、回して増やす。増えたらまた回す。
といった考え方を持っています。お金を稼いだらその血液を巡らせる必要があるということです。
お金は、お金を生む卵
その卵を作るために、自分のお金の2割を貯金する。そして、その貯金を卵にして、あらたな投資などを行いお金を回していくことで増やしていくことが重要と村上さんはいいます。投資することによるリターンを得ることでお金を増やしていくことができると言うことは、一般的に認識されていますが、当然そこにはリスクが伴います。また確実にリターンを得られるという各省のあるノウハウもありません。村上さんのところには日々、どうやったら大きなリターンが得られるか「お金儲けの極意」についての相談が来るそうです。しかし、「お金を増やすことに近道はないし、魔法もない」というのが結論。
重要な事は、「期待値」という考え方を身につけることであると村上さんは言います。
期待値という考え方
(期待値の考え方『いま君に伝えたいお金の話』より抜粋)
期待値とは、儲かる確率のこと。100円である株を買ったときに、将来それが300円になる可能性はどれくらいか、逆に50円になってしまう可能性はどれくらいか、ということを自分なりに一生懸命考えて、期待値を割り出します。
数字に強い人はこうした考え方が簡単にできます。しかし、そのセンスは一朝一夕に身につくものではありません。小さな時からたくさんの数字に触れておくことで、すんなりをイメージすることができるのです。ここでもやはり、子どものころからお金について勉強していることが強みになってきます。村上さん自身も子ども時代から父の影響を受けてお金にまつわる考え事を沢山してきました。その知見などから、有名な村上ファンドを設立するに至り、お金にまつわるプロフェッショナルになっていったのです。
加えて、損切りと呼ばれるような、傷をふさぐスキルも必要になります。お金を増やすために必要になる様々な考え方の、さらに根幹にある考え方をこの本では分かり易く説明してくれます。
借金は必ず返さなければならない
当たり前のことですが、借りたお金は返さなくてはなりません。村上さんは「借金はトランポリンのようなもの」という表現をしています。
お金を借りるということは、トランポリンに乗るようなもので、自分の力だけじゃ飛べない高さまでジャンプさせてくれることがある。自分で会社をはじめたいときや家を買いたいときに、とても役に立つ。でも、より高く飛んでしまってちゃんと着地できなかったら、受けるダメージはとてつもなく大きいし、自分の周りの大切な人の人生まで壊してしまいかねないということを理解してほしいのです。
借金をする以上は、きちんとその借りたお金を返すことができるか、そのイメージが具体的にできない中で借金をすることのリスクの高さを考えるべきです。自分の身の丈以上のことをしようとするのが借金なのですから、返せなかったときの代償は大きいです。
現代ではクレジットカードなどを含めて、簡単に借金をすることができます。それによって今手元にお金がなくてもいろいろな買い物ができるようになっています。借金そのものが悪なのではなく、きちんと考えずに借金をしてしまうことの怖さを学ぶ必要があります。こうした点においても、子どものころから借金に対しての考え方も身につけておく必要があるのではないでしょうか。
いま君に伝えたいお金の話:まとめ
村上ファンド創設者村上世彰さんの「いま君に伝えたいお金の話」にある、「君」とは、昔の自分だったと感じる一冊でした。子どもにお金の勉強をさせること、というものに対して悲観的な意見もあるなかですが、現代社会においてお金の知識の有無は大きな差を生みます。子供向けの話をまとめた一冊ではありますが、我々大人が手にとっても非常に分かり易く明快にお金に対する考え方を示してくれる本に仕上がっています。大変分かり易く、明日から具体的に何をしようか、という指針になってくれる一冊です。多くのビジネスマンにとっても必読の一冊、おススメです。