Google・Amazonが活用する「OKR」
「OKR」とは目標管理システム
OはObjective、つまり目標。KRはKey Results、つまり主な結果。
四半期ごとに、明確で定性的な目標をひとつと、目標の達成度合いを判定するための定量的な指標を3つ設定するんだ。
KR:KeyResult=主な結果
OKRは、ゴール設定のためのフレームワークとして、グーグルなどでも使われ、シリコンバレーで成功されている会社の間で広がっているといいます。このフレームワークを採用し、急成長している会社が多いことから日本でも注目されているアプローチの一つです。
OKRは「Objectives and Key Results(目標と主な結果)」の略。
基本は、O(Objective)は定性的なものを1つ”だけ”。KRは定量なものを3つくらい決め、ゴールに集中させることが目的。
O(Objective)は「わくわくするような」人を鼓舞する内容にする。ここは定性的な内容問題ありません。
「やりきる!」とか「勝ち取る!」みたいな言葉の方が鼓舞されるようならそれでいいということです。
また、各チームや個人が独立して実行できるような目標にすることで、「営業部のせいで未達になった」という言い訳ができないようにします。
KR(KeyResult)は感覚的な言葉を「数字で表現」します。どうやってO(Objective)が達成したとわかるか、という問いに答えられるように設定します。測れるものであればなんでもOK。
「OKR」はビジネスフレームワークの一種
こういったフレームワークは他にもKPI(Key Performance Indicator)マネジメント、MBO(Management by Object)、SMARTなどいろいろなものがあります。
自分の思考を整理する上では非常に有意義に活用できるものです。
しかし、今回紹介しているOKRが万能なわけでもなく、各現場や置かれている状況に併せてうまく使いこなすことを意識しましょう。
「OKR」この本を読むべき人
ビジネスマン全員が活用可能
多くのビジネスマンは組織の中でそれぞれが期待された役割を持ち、それを成すべくために日々活動しています。そのために、適切な目標設定があり、具体的な活動で達成を目指していると思います。
目標の設定の仕方、そこから日々の活動にどう生かすべきか、こうした点に課題間を持たれている方にとっては非常に有意義な著書となっているかと思います。
フレームワーク?なにそれ美味しいの?な人
ヤマシタは新卒で入社した会社では、フレームワークなどという言葉を知るシーンはありませんでした。各個人が個別に勉強して学ぶ、というスタイルを取っていたので、こういう本を読む機会も少なかったです。
しかし、フレームワークとは便利なもので、これまで自力では自然とやっていたことも、言葉にしてみると人にも伝わりやすく汎用性が効きます。体系的にビジネスの物事を認識することができるため、一つの成功や失敗を、再現性あるものとして振り返ることができます。今の成長スピードを加速させるためには学んで損はありません。
まずはやってみる!話はそれからだ!という職場にお勤めの方
最近のベンチャー企業では、習うより慣れろ、走りながら考える、というスタイルを取っている会社が大半だと思います。かくいうヤマシタもそういう会社で育ちました。まず客先に会いに行くことこそが重要である、今でもその考えは変わってはいませんが、少しだけ足を止めてこうした学びを取り入れることで、現場での商談クオリティのアップや日々のモチベーションへ好影響を及ぼすこともあるでしょう。
体系的に目標設計などの手法を知りたい人
目標設計のやり方、ということを最前線の営業をやっている中で学ぶ機会は少なく、個人のモチベーションを保つうえでも時々指針がわからなくなることも多いです。こうした学びは日々の活動の中の営業活動の質アップにつながるものです。
体系的な学びが増えることで、人に伝える際にも理解してもらいやすくなり、マネージャーレイヤーにとっても必要な知見だと思います。
OKRの具体的事例
営業マネージャーとして部下のマネジメントに活用
今自分は2名の部下を持ち営業マネージャーというポジションでチームの業績に責任を持つポジションを担っています。その中でSさん(仮名)の目標設定面談の時に活用したのがこのOKR。
弊社では、半年に一度人事評価があり、ちょうど半年前の上期スタート時の面談でSさんの目標設定をしました。
実際はざっくりと運用
弊社には従業員の役職が4つに分かれており、Sさんはその一番下のランク。(ヤマシタは上から2つ目のマネージャーというポジション)本人も上昇志向があったため、「半期後にはシニアになろうね!」とOを設定。ここではOは「シニアになる」でした。
そのために必要なKRは、まずは個人業績目標という数値上の評価軸を「130%達成」として設定。
また、弊社の目標上チームの目標数字達成が個人目標にも組み込まれていたので「チーム目標100%達成」と設定。
最後の一つは、定性的なものですが、業績やってれば昇格できるかというとそれもまた難しく、他メンバーへの影響力や部門への組織貢献といった部分も考慮され昇格が決まります。
そこで、「支社の業績に影響する施策を3つ立案」と設定しました。
- O:半期でシニアになる
- KR1:個人目標130%達成
- KR2:チーム目標100%達成
- KR3:支社の業績に影響する施策を3つ立案
これらを運用し、半年が経過しました。その結果は?
実践した結果は明らかに出ている
実際に半年間上記のとおりで運用してみました。結果的に、半年後、彼はシニアスタッフに昇格しました。
結果だけ見れば、ハッピーエンドでした、とだけで片付けられますが、ここで着目したいのは、期初からの彼の動き方とマインドです。
実は彼は、これまでずっとずっと未達が続いており、メンタル的にも結構落ちている状況でした。
しかし、この期初の動きは相当なものでした、期初から単月目標を130%達成を連発。また、定性的な動きでも、(なかなか具体的に説明しづらいのですが)他メンバーへのアドバイス、営業の成功事例の共有など様々な動きが目を見張るほど変わりました。
彼の中でも、KR3つは意識的に活動していたといいます。ここからわかることは、適切な目標設定は人を動かすということです。
確かに、これまでの弊社での目標設定は、単純に業績目標が決まっていたため、それをがんばりましょう、以上、で終わっていたのですが、体系的に目指すべき方向を示すことができると、具体的な行動をも変えることができるようですね。
「OKR」まとめ
ビジネスフレームワークに慣れている人もそうでない人も活用可能
今回は実際の活用事例をご紹介しました。私はビジネスフレームワークをそれほど使いこなしているタイプのビジネスマンではありません。現場間を重視するタイプです。
ですが、そういう私でも実際の部下の目標設計という形で、このようなフレームワークを活用し、成功したということで、再現性があるのではないかと考えています。
プレイヤーでもマネージャーでも活用可能
私はマネージャーとして部下の目標設定にこのOKRを活用しましたが、本著の中にもある通り、チームごと個人ごとで完結することができる点は、誰にでも使えるフレームワークだと思います。
すべてのビジネスマンに読んでいただきたい本だと思います。
とりあえず使ってみよう
私もそうですが、完ぺきにフレームワークをマスターしてから使う、ということはとても難易度が高く、失敗しながら使っていくことが望ましいと考えられます。刻一刻と変化するビジネスの現場では、使いながらいろいろなフレームワークを並行して活用しながら活動していくことが常だからです。
まずはぜひ本著を手に取り、できそうなところから使ってみてください。