『キングダム』の言葉は、現代を生き抜く「武器」になる
本書は、超人気マンガ『キングダム』に登場する人物たちの「言葉」をベースに、ビジネスパーソンに必要な「仕事力」の鍛え方を述べたものだ。
数多くのビジネスマンを熱狂させているマンガ『キングダム』。数多くの名言や名シーンが多くのビジネスマンの心を震わせ、日々のモチベーションに活かしていることでしょう。
本著では、そんな超人気マンガ『キングダム』のなかから、41の言葉をキーワードをチョイス、孫正義の心をつかみ3,000人のリーダーを指導してきた著者が現代ビジネスの現場で使える金言・名言を分かり易く紹介します。
「キングダム 最強のチームと自分をつくる」著者:伊藤 羊一
伊藤 羊一(いとう・よういち)
ヤフー株式会社 コーポレートエバンジェリスト Yahoo!アカデミア学長。
株式会社ウェイウェイ代表取締役。東京大学経済学部卒。グロービス・オリジナル・MBAプログラム(GDBA)修了。
1990年に日本興業銀行入行、企業金融、事業再生支援などに従事。
2003年プラス株式会社に転じ、事業部門であるジョインテックスカンパニーにてロジスティクス再編、事業再編などを担当した後、2011年より執行役員マーケティング本部長、2012年より同ヴァイスプレジデントとして事業全般を統括。
かつてソフトバンクアカデミア(孫正義氏の後継者を見出し、育てる学校)に所属。孫正義氏へプレゼンし続け、国内CEOコースで年間1位の成績を修めた経験を持つ。
2015年4月にヤフー株式会社に転じ、次世代リーダー育成を行う。グロービス経営大学院客員教授としてリーダーシップ科目の教壇に立つほか、多くの大手企業やスタートアップ育成プログラムでメンター、アドバイザーを務める。
年間500冊を超える漫画を読むほどの漫画フリーク。本書は、そのなかでもこよなく愛する『キングダム』のメッセージを通して、約30年間のキャリアで培ってきた「仕事力の鍛え方」をまとめた1冊。
かつてソフトバンクアカデミアで孫正義にプレゼンをし続けてきたという伊藤羊一さん。その中でもたぐいまれなる成績を残してきたことから、Yahoo!アカデミアの学長や、現在でもグロービス経営大学院客員教授としてリーダシップ科目を教えています。
そんな豊富なキャリアを持った伊藤さんが、キングダムの中から「仕事をするうえでも役に立つ」と紹介している41の言葉を、学びや経験を基に紹介してくれます。
本書をとくに読んでほしいのは、若手・中堅クラスの悩めるビジネスパーソンだ。
とあるように、ビジネスの現場で悩みを抱えながらも日々を頑張り続けている、多くのビジネスパーソンに向けて書かれています。平易な言葉で誰が読んでもわかりやすく、非常に読みやすい本に仕上がっているため、多くのビジネスパーソンの道しるべとなるような体験を得ることができます。
読み進めるだけで、成長を感じられる構成
本著は6つの要素で構成されています。
まずは、「志(ビジョン)」を持ち、「行動(アクション)」に移す。そして行動し続けるために「精神力(マインド)」を鍛える。
そのうち、より大きなことを成すために「仲間(チーム)」をつくる。チームに対しての説得力を持つために、「話力(スピーチ)」を」身につける。そして最後は、「信(ビリーフ)」。仕事や人生に臨む信念、信じる力について述べて締め括った。
冒頭から読み進めていくことで、自らの仕事観を振り返るとともに、チームを作りより大きなことを成し遂げていくための成長を遂げられるような流れとなっています。
そしてここからは、ヤマシタが心に響いたいくつかの名言をご紹介します。
危険だから意味があるのだ これが俺の打てる最後の手だ(政)
六国による合従軍と秦の蕞(さい)攻防戦では、新王政が自ら指揮を執って戦いました。数多くの兵を戦いの中心である、函谷関に集結していた秦では、首都咸陽を守るための兵力は多く残っていませんでした。そんな中で、政は最後の砦として、蕞で進軍を食い止める、という手に出ます。
しかし、蕞にいるのは、兵隊ではなく一般市民。そこで自ら檄を飛ばし、一般市民の士気を爆発させることで戦いに臨むという作戦に出ます。一時は強い守りを見せる市民でしたが、どうしても疲れが見え始めます。
そんな中で、自らが戦火の最前線に立ち、市民とともに戦うことを決めます。政にはプランが頭にありました。そのプランが必ず成功すると信じて疑わなかったのです。
結果的には、山の民が援軍に来てくれたことで蕞を守り抜くことができました。
一国の王が戦火の最前線に立つということは、とてつもなくリスクの高い作戦です。しかし、政が言うように、リスクをとらなければリターンを得ることができません。
ビジネスの現場でも同様に、リスクをとらなければ、絶大なリターンを得ることはできません。チャレンジしなければ何も生まれない。自分が成功を信じてやまないことは、どれほどリスクが高かったとしても、果敢に飛び込んでいくことの重要性を知ることができます。
自分の生きる道は自分で切り開く それだけだろ(信)
キングダムの主人公信が、敵の戦車隊に囲まれ、絶体絶命の危機を迎えたとき、周りの歩兵たちは「なんで援軍が来ないんだ」と嘆きます。そんな中でも信は「そんなもん最初から期待してんじゃねぇよ」と馬に乗って現れ、一人で戦車隊に向かっていきます。
自分の道は自分で切り開く、という言葉は使い古されたありふれたセリフですが、意外と自分を見直してみると、本当に自分を自分でリードできているか、危うい部分もあることが多い。
本著で戒めとして出てくるのは、
「このままでいいのか、漫然と将来に不安がある。ただ、どうしたらよいかわからないまま、日々が過ぎていく。そしてますます不安が募る」と。
で、どうするかといえば、大部分の人が、「考えるのをやめて、仕事に没頭する」という。将来を考えたくないから、思考停止する、ということだ。
伊藤さんは、これではダメだ。と一蹴します。自分の人生は自分で切り開くべきであると。そのためには、自らの「価値観」を知ることが重要。
リーダーやリーダーシップというのは、人を巻き込んで導いていくことを指しますが、そもそも自分を導いていくことができているかどうか、つまり、自分が何者か、を知ることが重要です。
これが将軍の見る景色です(王騎)
疑似的にでも、「リーダーが見る景色」を経験していることは、後に活きる。
多くの人は、組織のリーダーとして、マネジメントなどを経験することを目指すと思います。でも、その立場になってからその景色を見ているようでは遅いのです。
想像だけであっても、リーダーが見る景色を経験することで、どんなメンタルなのか、どんな課題感を持っているのかといったことを考えることができます。その経験は、実際にリーダーになった時に必ず生きてきます。
キングダムの中では、王騎将軍が瀕死の時に敵から逃げる馬の上で、信を同乗させかける声が冒頭のセリフ。キングダム髄一の名言ですが、信はこの景色を思い出すことで、天下の大将軍がどんな景色を見ているかを学びます。
自分が知らない世界を、実際に見ることができれば最高、仮にその景色を見るチャンスがなかったとしても、それを想像することはできるはずです。いざ、自分がリーダーになった時にひるまないように、自分だったらこうしよう、思考を巡らせることができる人材、そんな人材はどこの会社でもさぞ重宝されることでしょう。
キングダム 最強のチームと自分をつくる:まとめ
いかがでしたでしょうか。超人気漫画『キングダム』には他にも魅力的な名言・名シーンがたくさん出てきます。本著の中では様々な視点から、実際のビジネスマンが悩み苦悩するシーンに合わせた言葉をチョイスしてくれています。
「今のままでいいのか」と漠然とした悩みを抱えている人にとっては、明日への活力、仕事のモチベーションにもつながる素晴らしい本だと思います。