仕事のモチベーションを高めたい人必読『図解 モチベーション大百科(池田貴将)』要約・レビュー【書評】
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図解でわかりやすくモチベーションを高める手法を教えてくれる一冊

”モチベーション”は、見えないところで、私たちを動かしている力。どこからともなくやってきて、私たちを行動させ、いつの間にかいなくなるもの。しかし、雲のように自由気ままなものではなく、ある決まった法則に従って、私たちを動かしています。

モチベーションとは何か。この問いに対して、本著「モチベーション大百科」では100通りの心理・行動実験を元に、図をたくさん使い、とてもわかりやすく解説してくれています。この心理・行動実験も大変わかりやすく、そこから得られる示唆を簡潔にまとめてくれているので、実際のビジネス現場のシーンに照らし合わせながら、自分やチームのメンバー、それぞれのモチベーションを高めるためにできることを教えてくれます。

本記事では、ビジネス現場でマネジメントをしているヤマシタが「これは現場でも使える!」と感じた、メンバーのモチベーションを高める手法をピックアップしてご紹介。多くのビジネスマンにとって役立たせることができるものをご紹介します。

モチベーション大百科著者:池田貴将

池田 貴将(いけだ たかまさ、1983年 - )は、日本の自己啓発書作家、起業家。ライフコーチのトニー・ロビンズの指導を受け、そのノウハウを日本向けにアレンジして持ち込んだ。株式会社オープンプラットフォーム代表取締役で、ビジネスマン向けの教室を運営している 

出典:Wikipedia

モチベーション大百科:目次

  • Chapter1 動機づけのモデルケース
    • 目標勾配 ゴールを間近に感じさせる。
    • キャンディ効果 スモールプレゼントをする。
    • 消費ゴール 報酬を予定する。
    • 自問式セルフトーク 自分にもお伺いを立てる。
    • マインドセット 価値観と行動を結びつける。
    • 内発的動機づけ 報酬は一つにする。
    • 小分け戦略 手数を増減させる。
    • 同調状態 動きを合わせてから、取り掛かる。
    • 課情の妥当性 噂に気をつける。
    • 証明型と習得型 当人比で評価する。
  • Chapter2 人材育成のモデルケース
    • 焦点の移動 思い込みを再評価する。
    • プライミング効果 セルフイメージを守る。
    • 特異性信用 意見する前に、協力する。
    • マシュマロ実験 悪習をただちにやめさせる。
    • 役割の力 役を割り振る。
    • 道徳的行動 行動を叱り、存在をほめる。
    • 同族嫌悪 似ている者同士は離す。
    • モラルの逸脱 顔と名前をオープンにする。
    • 自信過剰バイアス うまい話は聞き流す。
  • Chapter3 目標設定のモデルケース
    • 目標設定理論 目標を具体的にする。
    • 非競争報酬 自分自身と競争させる。
    • 泥棒洞窟実験 共通の目標を作る。
    • セレンディピティ 「運がいい」と思って仕事をする。
    • 社会的手抜き 全員にミッションを与える。
    • ピリオダイゼーション 締め切りを細かく区切る。
    • 行動思考 まず手続きをする。
    • 妥当性の論理 他人への影響を伝える。
  • Chapter4 意思決定のモデルケース
    • プロスペクト理論 得失の視点から見る。
    • 情報の偏り 事情は双方から聞く。
    • 経験の自己と記憶の自己 不合理なことを選ぶ。
    • 情報処理の特性 欠点は出し切り、利点は出し惜しむ。
    • フォールス・コンセンサス効果 自分と反対側との中心点を見る。
    • おとり効果 比較対象を見ないで選ぶ。
  • Chapter5 人脈作りのモデルケース
    • 返報性の原理 こちらから先に好意を寄せる。
    • 初頭効果 初対面に全力を注ぐ。
    • スポットライト効果 自意識を捨てる。
    • 好奇心の効能 相手のことばかりに関心を持つ。
    • 視点取得 相手の視点から見る。
    • 一貫性原理 見ず知らずの人を頼る。
  • Chapter6 自己管理のモデルケース
    • 遅れの影響 忙しくさせない。
    • 感情変換 興奮状態を生かす。
    • 意思の消耗 我慢を続けない。
    • 感情のコントロール 喜びは体現し、怒りは体現しない。
    • パワーポーズ 姿勢と呼吸に気をつける。
    • 分析病の罠 選択量を加減する。
    • 交互練習 何冊も並行読みする。
  • Chapter7 発想転換のモデルケース
    • 反証的質問 問題は「あるもの」として話す。
    • 批判者の知性 提案には否定も加える。
    • 魔術的思考 神頼みをする。
    • 単純化 わかりやすいイメージを疑う。
    • ネッカーの立方体 評価を反対からも見る。
    • マスト思考 命令は願望に変える。
    • 記憶のすり替え 「理想の状況」としてとらえ直す。
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「どれぐらい遠いか」よりも「どれぐらい近いか」を振り返る

目標勾配:ゴールにどれぐらい近いているか

同じ進捗率であったとしても、「まだこれしか進捗していない」という印象よりも、「もうこれだけ進捗した」という印象を受けた人の方が、進捗が上がるという実験結果があります。メンバーとのコミュニケーションにおいて、「まだ」というコミュニケーションを積極的に「もう」と言い換えることで、メンバーのモチベーションを高め、生産性をあげることができます。業績の進捗が芳しくなく、精神的にきつい状況の時こそ、「もうこれだけ進捗させられたのだから」というコミュニケーションを積極的に取り、メンバーをうまくマネジメントしていきましょう。

断定よりも疑問系の方が答えとモチベーションを引き出す助けとなる

自問式セルフトーク:自分にもお伺いを立てる

「お願いいたします」と丁寧に依頼をされたとしても、どうしても拒否したい気持ちがわずかながらに生まれるのが人間です。それを言い換えで、「お願いできますか?」と疑問系の形にすることで、相手には「はい」と「いいえ」の選択肢を与えることができます。そして、相手に対して「はい」を自ら選択してもらう、という点が重要です。自ら選択したことに対しての方が人はモチベーションが高まります。依頼する内容自体が全く同じであったとしても、どちらもイエスの答えにはなりますが、その行為のモチベーションレベルは変わるということです。

やるべきなことだがやりたくないことをお願いする時、また自分に対しても気が乗らない時には積極的に、自分に対しても「やるの?」という疑問を投げかけるようにしましょう。

「役割」は人間に大きな影響を与える

役割の力:役を割り振る。

その人が望む役割を決めて周囲にアピールすることで、人は自他共にその役割に対するイメージに合致するように行動します。自分は「どんな存在でありたいか?」部下に対しては「どんな存在であってほしいか?」をきちんと伝え、それを周りに対してもきちんと訴求することが大切です。人はその役割に沿った行動をとるようになるという実験結果からも、部長は部長らしく、課長は課長らしく、メンバーの成長を考えるのであれば、そのメンバーに対して上位レイヤーとして存在してほしい、ということを明確に伝え、そのような役割期待を任せます。当然すぐにその役割をこなすことができるかは能力次第ではありますが、本人もその役割を全うしようと努力するはずです。モチベーションを高め、メンバーの行動をコントロールすることでより生産性を高めていくことに役立てることができます。

目標は具体的な数字で表現する

目標設定理論

人は求められたこと以上のことをしない傾向にあります。しかし、具体的で難しすぎず受け入れられるレベルの目標を設定しているとやる気を出します。人が無気力になる時というのは、2通りあって、一つは「何も目標を立てていないこと」もう一つは「モチベーションを無くすような目標を立てていること」です。目標設定というのは非常にセンシティブかつ難易度の高い領域であることは多くのビジネスマンが現場で痛感していることでしょう。会社として求められるレベルと、実際の現場との間で意識の乖離が起こることよくあります。そんな時にマネージャーなどの管理職はいかにしてメンバーをマネジメントしていくべきか。こんな時に役に立つのが、その目標を具体的に数値化して、メンバーが「頑張れば達成できそう」とイメージすることができる目標にブレイクダウンしてあげることです。営業の現場であれば、「訪問件数が足りない」と伝えることがあると思いますが、それを具体的に「今週は●●件訪問しよう」と噛み砕いてあげることです。加えてその訪問件数を達成するために必要な行動レベルにまで落とし込んであげることが必要です。能力の高いメンバーであればそこまでしなくても自らブレイクダウンした目標を自分で立てることができるでしょう。感覚的にこれまでやっていることを具体的な数字に変える、そしてそのレベルを「少し頑張れば達成できる」と認識できるレベルに調整することこれこそが中間管理職であるマネージャーがメンバーの力を最大化させ業績を伸ばしていく秘訣です。

理由を考えていると人は行動力が鈍る

行動思考: 「なにをすべきか?」に意識を向けると具体的な行動をしやすくなる

人は面倒なことが起きた時に、「なんでそんなことが起こったのか」と理由探しをする傾向にあります。当然その原因を究明することは重要ですが、その理由を探していることによる弊害は、行動力が鈍る点にあります。部下がミスをした時に「なんでそんなことをしたんだ!」と叱るよりも、「具体的にどうすれば解決に近づく?」と考え手続きを考えることが重要です。具体的な行動でしかそのミスは修正することができないはずです。「なんでそうなの?」というコミュニケーションを「だったらどうするの?」と言いかたを変えるだけでも、メンバーの思考を前向きに具体的な行動に向けることができます。ミスをした時こそ急いでネクストアクションを考え具体的に行動していく必要があるはずです。そんな時に理由を問うのではなく、具体的なアクションプランを共に考えてあげられる、そんなマネージャーを目指しましょう。

人は信用できない相手には簡単には頷かない

同調圧力:共感からはじめる

人は共感を繰り返していると、なんでも肯定しやすくなるものです。イエスセットという話術のテクニックがありますが、人はイエスとなんども言っている相手に対しては信用を覚えるもの、その人から言われたことは概ね肯定感を保ったまま話を聞くことができます。これを生かし、相手との対話の際には、まずは共感を得るための会話が必要です。営業現場においてもアイスブレイクというフェーズがあると思いますが、商談をいきなり切り出すよりも、雑談の中で多くの共感を得てからの方がスムーズにいくはずです。信用できない相手からの提案は、人は簡単には肯定しないということを覚えておきましょう。

モチベーション大百科:まとめ

ここにあげたのは本著で紹介される100のメソッドの中の一部です。これらの他にも我々を突き動かしている様々なモチベーションの源泉が紹介されています。ビジネスの現場で使えるメソッドも数多くあり、実際の実験結果がその裏付けとなり説得力が高いものばかりです。改めて自らのやる気を奮い立たせたい、メンバーのモチベーションをいかにしてあげれば良いのか悩んでいる、といった多くのビジネスマンにオススメの一冊に仕上がっています。

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