【書評】天才を率いるリーダーシップの極意とは『アインシュタインズ・ボス 』を読んで
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天才アインシュタインを率いたリーダーシップとは

もしあなたが、アインシュタインを部下に持つ上司だったとしたら

自分の部下がかの有名な天才であったならば、あなたは上司としてどのような行動を取れば良いのでしょうか。

本著「アインシュタインズ・ボス」は、アインシュタインの直属の上司であった、エイブラハム・フレクスナーという人物が、いかにして天才のいるチームを率いていたのか、その手法をまとめた一冊です。

イノベーションを起こすためには、既存のものの見方や考え方の踏襲ではいけません。天才は世界をみる目が違い、考え方も異質なものであることが多く、そうした才能を率いるリーダーシップは、標準的なコミュニケーションでは物足りないことがあります。ITの発展により、科学のみならず、様々な領域でイノベーションの必要性が叫ばれている昨今、自らのチームを発展させ、広く成果を求められる時代、リーダーとしての姿勢や考え方も、変化を求められています。

本著は、こうした時代背景から、イノベーションを生み出すためのリーダーシップとはどういうものか、優秀な部下の力を遺憾なく発揮するためのノウハウがまとめられたものとなっています。

アインシュタインズ・ボスをオススメする読者

  • マネージャーをはじめとする管理職
  • 上司が優秀だと感じているリーダー
  • チームビルディングを必要とする職種

天才と言われたアインシュタインの上司でなくとも、多くのリーダーたちは、優秀な上司の才能を使いきれず苦悩しています。新たなアイデアを生み出すことがミッションでなくても、どんな組織であってもチームという単位は存在し、それぞれにリーダーが存在します。

そして、そのリーダーたちは、チームのメンバーの力量を正しく認識できず、満足いく成果を残せないことに歯痒さを感じていることでしょう。

本著は、部下の力量を認めつつも、その才能を開花させることができていないリーダーのための一冊でありながら、チームをドライブさせていくために必要な概念や手法にも言及され、「天才を率いるための10のルール」についてまとめられています。

天才を率いるための10のルール

  1. 鏡と向き合う
  2. 邪魔をしない
  3. 黙って耳を傾ける 
  4. 石をひっくり返す 
  5. 化学よりも錬金術を使う 
  6. 過去を未来の事実にしない 
  7. リスを無視する 
  8. 心と頭を調和させる 
  9. 問題で気を引く 
  10. 危機とうまくやる

 

聡明な人々を率いるときにリーダーが何に気をつけ、どう対処すればいいかをまとめた私なりの処方箋だ。この10のルールで天才部下を率いれば、彼らはきっと常識を超える発見を成し遂げ、あなたを悩ます複雑な問題を解決してくれるだろう。

これらは決して突拍子もないアイデアでというわけでもなく、多くのマネジメント関連の書籍や、リーダーシップにまつわる知識と共通する部分が多くあります。

自分の部下が天才かどうかを見極めることもさることながら、多くのチームにおいては、抑圧された環境がポジティブな状況を生み出すことは少ないため、まさしくこの10のルールに則った行動指針であるといえます。

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リーダーに求められるのは「共感力」

それぞれの10のルールを実践する上で、リーダーに根本的に必要な力があります。それは「共感力」です。共感力とは、「他社のなかに自分を認める」というものであり、共感力のない人、というのは「自分自身のみを最優先とし、実際にどうしたのかではなく、どうするつもりだったかを元に自己評価を行う」人のことです。

共感力のない人は、他人に対しては、どうするつもりだったのかという意志は関係なく、実際の行動のみで厳しく判断します。

つまり、自分自身への評価と、他人の評価指標が真逆にある人のことを指します。

こうした人は、リーダーとしての資質もさることながら、人望を持ち合わせることができません。人から慕われることがなければ、協力を仰ぐことができず、結果的に大きな成果を残すことができないのです。人はひとりでは生きていけません。ましてや、チームとして成果を求められるビジネスの現場において、自分以外の他者と共に成果を出すためには、「他人とうまくやる」という能力が必須となるのです。

天才の能力を発揮させるためには、天才を「認めること」が重要

天才は、その能力も非常に高いため、自分自身で価値を生み出すことも可能です。しかし一方で、その成果が適切に評価されるかどうかといったことには関心がなく、ビジネスの現場においても、適切に成果をなすことができないケースが多くあります。

こうしたときに、まさにリーダーは指針を打ち出し、天才をモチベートしながら、チームとしての動きを作り上げていくことが求められます。

そのためにはまず、天才を「認めること」。天才がしようとしていることや、何に心を踊らされるのかを理解する努力が必要です。

ビジネスの現場において言えば、自身が与えられたミッションと、本人がやりたいことの間に、大きな乖離がある場合、能力のある人材は強いモチベーションを喚起されることはありません。

リーダーは、この「繋ぎ役」として、うまく本人のやる気を保ちつつ、チームとして与えられているミッションに向けた動きを取る必要があるのです。

これはまさに、人材マネジメントのキモでもある、「他社を認め、理解することで、人をモチベートさせながらミッションを達成する」という、マネージャーとしての役割に当てはまります。

天才だから、という文脈のみならず、リーダーシップやマネジメントという観点から多くのリーダーに手にとっていただきたい一冊となっています。

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