【書評】『アナタはなぜチェックリストを使わないのか?(アトゥール・ガワンデ)』感想・要約 チェックリストはビジネスでも使える
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アナタはなぜチェックリストを使わないのか?

チェックリストと聞くと、ビジネスシーンにおいて「そんなもの不要だろ」と軽視されがちです。本著は、アトゥール・ガワンデという外科医師が書かれた本なのですが、医療の現場において、チェックリストがいかにして機能しているか、またそのための導入における困難などをまとめたものです。

チェックリストは、広く航空業界で飛行機を飛ばすという非常に複雑な工程を安全に確実に遂行するために活用されています。多くの人の命を預かるパイロットは、ミスがあってはならない、死ぬまでそのような局面に遭遇することはない、と考えていながらも、チェックリストを使うことに対する信頼と訓練を受けています。こうした背景から、著者のアトゥール・ガワンデ氏は自らの医療業界、手術において人命を守るためにチェックリストの導入を画策します。

その中で、チェックリストというものは、どのように機能しており、どういった作り方で、良いチェックリストの作り方に至るまで書き起こされている一冊です。

本著をオススメする人

医師が書いた本ということもあり、医療現場でのエピソードが数多く登場します。

しかし、読み進めていくと、このチェックリストというものは、単に、これまで導入されている業界や医療業界にとどまらず、様々な場面で役に立つことが読み解けます。

  • ミスをしたときに振り返りをしたい人
  • PDCAを回していきたい人
  • 経営層や管理職の方

これらの自律して業務改善を図りたい方皆さんにオススメできる一冊だといえます。

人間の失敗の原因は「無知」と「無能」

人間はどんな場面でも失敗をするものです。日々の業務の中で、当たり前に行っていることでさえ、別の業務で忙しくしていると怠ってしまうことが多々あると思います。人間の脳は非常に優秀ではありますが、万能ではありません。人間は失敗をする生き物なのです。

そして人間が失敗する、ミスをする原因には二つの要素「無知」と「無能」に集約されます。

 

一つめが「無知」である。科学は発達したが、わかっているのはまだほんの一部分だけだ。建設できないビル、予知できぬ大雪、治せない心筋梗塞など、私達が知らないことはまだまだ多い。

二つめが「無能」だ。正しい知識はあるのだが、それを正しく活用できない場合を指す。設計ミスで崩落する高層ビル、気象学者が予兆を見落とした大雪、凶器が何だったかを訊き忘れることなどがこれにあたる。

現代社会においては、ここでいう「無知」の領域は大半が解消されてきました。もちろん、いまだに解明できていない領域もありますが、歴史を振り返ればはるかに無知の領域は狭くなってきています。

この無知が急速に減っている一方で、「無能」がより重要な問題となってきています。これらをリカバリーするためのものが、「チェックリスト」なのです。

 

大切なことは人間の限界を認め、他者と協力し、「チェックリスト」には絶対に従うこと。

あなたが同じ失敗を何度も繰り返してしまうのはなぜなのか?

失敗が起きるのは、怠慢のせいでも努力が足りないせいでもない。

「チェックリスト」こそミスという名の病を治療する唯一の処方箋である。

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チェックリストはマニュアルではない

本書で紹介される様々な事例からは、チェックリストがいかに有用なものかをはかり知ることができます。

しかし、チェックリストがあれば大丈夫か、というとそうではありません。チェックリストはマニュアルとは違い、業務を遂行するためにあるものではなく、それを使う人の問題や環境にも効果が依存します。

ブレイクスルーを生み出すために必要なことは、チェックリストを作ることではないかもしれません。

アナタはなぜチェックリストを使わないのか?:まとめ

チェックリストを使うことは、これまでの人生の中でも様々な場面で使用してきた人が多いため、イメージをすることは可能だと思います。

しかし、チェックリストを使うのは面倒です。日々行っている提携の業務内容ぐらいは覚えているから大丈夫だ、と考えるのも無理はありません。更に、チェックリストを使うことが、周りに対して、普段やっている業務すら覚えていない、という印象を持たれることもいい気分ではないでしょう。

でも、歴史を振り返ってみれば、重大なミスの多くは、人間の簡単な見落としなどから生まれています。人間の記憶力を過信せず、チェックリストを使うことでミスを事前に防ぐことができるというのが本著での結論です。チェック利宇都という面倒なことを導入することで、結果的には全体の仕事の生産性が上がることのほうが多くなるのです。

一方、あらゆる業務プロセスにチェックリストにすることは得策ではありません。重要なポイントを抜き出してチェック項目としていくことができれば、スピードが求められる昨今のビジネス社会においても有意義に活用できるチェックリストが出来上がり、ヒューマンエラーの多くを防ぐことができます。

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